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先日、12,720円という修理見積もりが送られてきた腕時計のベルト交換だが、たかだかベルトループがひとつ外れただけでそんな金払えるかっ!…ということで、半ば諦めてそのまま使おうかとも思ったのだが、一応、専門店と呼ばれるところに持ち込み見るだけ見てもらうことにした。
時計もピンキリとはいえ、「The時計屋!」として店を構えているところで扱っている物は大抵の場合、高級品であろうとの先入観がある。よって、その手の店に足を踏み入れるのは人生始まって以来、初めてのことだ。至って庶民派が売りなの。
「いらっしゃいませ」
お出迎えは店主兼、従業員と見られるメガネをかけた若い男性だ。ジーンズ姿に白シャツ、ネクタイの出で立ちで時計屋にしてはラフな印象だ。
「実はカクカクシカジカ…」
今までの経緯を話、メーカーに問い合わせたらベルトごと総取っ替えとなる話をした。
「あぁ、そうですね。そうなると思いますしメーカーの請求としては妥当な金額かと思います」
「え、やっぱそうなんですか?」
「まぁ、他に手立てがないこともないんですけどね」
とその場を立ち去ると、次に現れた時にはベルトの見本を手にしていた。
「これが同じ色合いで同じ素材の同じ型押しになります」
「あ、ホント。見分けがつかないですね」
「これですと5,500円でいけます。イタリアの老舗ブランドのベルトなので値段はそこそこですが、違和感ないと思います」
値段が高いとは言っても修理見積もりを考えたら随分と安く感じてしまった。
「技術料は別ですよね?」
「込みです」
「消費税は?」
「込みです」
「全部、ひっくるめて5,500円ですか?」
「はい、全部込み込みです」
「じゃ、お願いします」
即決だった。ただ、サイズは在庫がないのでお取り寄せになるとのこと。2~3日お待ちくだい、入荷しましたらショートメールでお伝え致します、ということで2~3日待つ覚悟でいたら、翌日にはメールが送られてきた。
「時計のゴシマです。先日の時計のバンドが入荷致しました。またご都合の良いときにお待ち申し上げております。この度はゴシマを」
「ご利用頂き誠にありがとうございます!」
ショートメールなので一度に送りきれなかったのだろう。さっそく、持ち込みその場で修理をしてもらった。こんな機会は滅多にないので観察をさせてもらった。速い。自分ならば1時間掛かっても出来そうにない作業を、ものの5分で成し遂げた。
「おぉ~、いいですね。見栄えも遜色ありません。ありがとうございます」
本当に5,500円きっかりで良いのかと再度確認するも、やはりそれで良いと言われる。おまけにPayPayが使えるという。ならば当然、PayPayで払うに決まっている。なにせ岐阜市では今、PayPayで支払うと1,000円が上限で20%も還元される。
まぁ、ここで言うまでもなく、岐阜市民だったら知っているはずとは思うが。
というわけで、実質4,500円で修理完了。感無量の一日だった。