氷の上のさかな

氷の上にディスプレイされたさかなの様にセカンドライフをキラキラとさせる為に今を頑張ろうといったシュールなお話。

職人技を見た!

仕込みをしながらクロス職人の仕事ぶりに目を奪われていた。


「おはようございま~す」

ときっかり午前9時にやって来ると即座に仕事を始める。


「あれ?今日は一人なんですか?」

前回は二人がかりでやっていたからだ。


「えぇ、これくらいは一人仕事ですよ」

そうなんだ。

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そうこうしていると、あん子がわざわざ手伝いに来てくれたので肉の仕分けの仕事をお願いする。


「これ、1kgずつ測って袋に入れてくれる?」

「うん、わかったー」

いいねぇ。実にいい。娘と一緒に働くことが出来るだなんて最高じゃないですか。但し、今日はお手伝いだからお給料はなしね。おい、ケチくさいことを言うなよ。うん、でもちゃんと仕事として働いてくれるようになったら時給2,000円で雇ってあげるから。


その間にもクロス張りは延々と続く。

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ポン酢を仕込み焼肉のタレを仕込み「どて煮」の仕込みを始めた頃になり、やっと本番のクロス張りが始まる。今までは壁の寸法に合わせた裁断の作業だったようだ。


それまでは近代アートを施したかのようだった壁の接着剤が、次から次へとクロスで覆われていく。

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1mmの気泡も入れずキチンキチンと張り合わせるだけでなく、どこが切れ目なのかも全く見えないわからない職人技に思わず息を呑み見とれていた。


いかん、手が止まっている。そろそろ「豚の角煮」があがるころだ。


「さーせん。終わりました」

え?まだ12時だよ。


「もう、終わったんですか?まだ3時間しか経ってない」

「いや、この程度だったらこんなもんすよ。他所の現場がありますから失礼します」

お見送りついでに

「何年くらいやったらこれだけ早く出来るんですか?」

風貌から想像するにどう見ても30代だ。


「ま、う〜ん、今でちょうど20年ですけど、そこまで年季はいらないっすね。ただ、長いことやっていると仕事は必然的に早くなります」


同級生でも高卒でペンキ職人や同じくクロス職人になった連中もいるが、やはり同じレベルの仕事が出来るのだろうか。なににしても、これでやっと壁が出来てピリッと締まって見えるようになった。が、写真を撮り忘れた。てへぺろ