氷の上のさかな

氷の上にディスプレイされたさかなの様にセカンドライフをキラキラとさせる為に今を頑張ろうといったシュールなお話。

「残り物に福」も程度の問題

「お父さん、ケーキ食べる?」

「ケーキ?誰か買って来たの?」

愚問だ。自分以外に買ってくるとしたらもう1人しかいない。

 

「うん、お母さんが」

「ん?買って来たって?」

「ん~、わからんけど持って帰って来た」

どう考えても怪しい。かつてそんな事は唯の1度も無かったからだ。

 

商売屋の元に育った娘達の母親だが、いわゆるお祝いごと、この場合は仮定としてXmasだが、のシーズンから年末にかけて商売が忙しく、自宅でXmasを祝う習慣などなかったと結婚当初から言っていた。故にXmasプレゼントを貰ったことも無ければケーキを食べることもなかったと聞かされた。それ故、ケーキを買う習慣もないと。

 

「私は祝い事をやってもらったことがない」

と口癖の様に言ってはいるが、考えるにそれも程度の問題だと承知している。はっきり言って「お嬢」だ。手を伸ばせばそこに欲しいものがあり直ぐ手に入る環境におりながら、それ以上、与えるという事を親が是としなかっただけのことだろうと想像する。義父母は非常に出来た方々だ。

 

それを言うならほぼ父子家庭で育った自分の方がもっとやってもらってない。幼稚園バスでさえ見送りもお迎えもなく一人ぼっちだし、男親ではおやつにまで気が回ることがなかったのだろう、ひもじさに耐え切れず茶箪笥にあった角砂糖をかじっていた。いかん、愚痴になった。

 

まぁ、買ったということにしておこう。

 

「苺のね、デコレーションケーキやよ」

「えっ?ショートケーキじゃないんだ?」

いよいよ怪しい、というか何となく出処が見えてきた。

 

「お父さん、いいゎ。ダイエット中だし」

ダイエットなどしていない。ただ既にアルコールが入っている。肴にケーキはちょっと胃に重たかろう。

 

「うん、わかった」

すごすごと引き返して行った。

 

と思ったら戻ってきて、

「ケーキ持ってきたよ」って…えぇ

 

「あれ、なんで(小笑)要らんっていったやん。

ってゆーか苺のってないし

 

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「うん、ダイエット中って言っとったで苺はずしといた」

「で、苺はどうしたの?」

「私とあん子で全部食べたよ」

「あ、そう」

「んじゃね~、後でお皿取りに来るで」

 

苺はずしておいたって…。むしろ残りの方が悪(あく)やん。まぁ、勿体無いから食べましたけどね。

 

で、ケーキは案の定、友人が職場のノルマで買わされたクリスマスケーキを譲ってもらったものだそうな。友達に感謝。

 

ただ気にしてもいなかったが消費期限はいつまでだったのだろう?

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