キャバ嬢の華やぎになぞらえた缶チューハイひとり論争・episode2
自分にはこれが気に入ったとなれば後先を考えずについつい貢いでしまう癖がある。これは以前、缶チューハイにまつわる話で告悔したことがあるが、因みに「告悔」などという言葉はない。さだまさしの造語である。でも何となくニュアンスは伝わるよね?
然しながら「悔いる」などという言葉を用いようとも一向に改める気配のない私でございます。で、今は何をターゲットにしているかと言えば、
「KIRIN THE STRONG 味わいレモンサワー」だ。
期間限定となっているのだが、行きつけのドラッグストアにはかれこれ1ヶ月以上前から陳列されている。これを毎日2缶ずつ買い求めるが為に足繁く通っているわけだ。
「ケースで買えばいいじゃん」
とまたもやどこからか声が聞こえてくる。チッチッチ宍戸如。以前はこれをキャバクラに準えて
「キャバ嬢はキャバクラという場所にいるからこそ華がある。缶チューハイも然り。その棚に置いてあるからこそ商品としての魅力を発揮するのだ」
と概ねこの様な説明した覚えがある。今でもその気持ちは変わらない。
ただ、ほんの少しだけ気になることがあった。そこで「KIRIN THE STRONG 味わいレモンサワー」をむんずと掴み最寄りの店員に、とは言ってもむっちゃ探してやっと見つけただけにやたら距離は稼がされた店員に、
「すみません。これってケースで売っているんですか?」
と訊いてみた。
勘違いしないで欲しい。
ただ単に訊いてみたかったから訊いてみただけだ。キャバ嬢を見受けするなど愚行であるということも以前、記したかと思う。いつもその棚にありキンキンに冷えた状態が華であり旬なのだと。単なる好奇心を満たそうがしたが為の行動だ。
というか本当は「期間限定」が気に掛かってのことだ。
期間っていつまでのことなんだ?
「あー、さーせん。もう在庫ないっすねー。棚に並んでいる分だけっす」
お前は誰に向かって口を聞いているんだ、ってな事も瞬時に忘れるほどに気持ちの切り替えは早かった。慌てて棚に戻るとそこにある「KIRIN THE STRONG 味わいレモンサワー」を有丈(ありたけ)買い物かごに放り込む。
後ろの棚を見上げると、おっと、こんなところにも。
キャバ嬢にしてもそうだろう。明日になったらもう手に入らないとわかっていながら「明日も行こう」なんて考えるハマり客などいよう筈もない。ただ手に入ることが確実ならばエイヤッ!と貢ぐこともひとつの手だろう。まさにこの時がその時だったのだ。これを「キャバクラ事情に於ける風林火山 by 孫子の兵法をチューハイに当てはめる兵法」と自分だけがそう呼んでいる。
根こそぎ浚(さら)えてしまっても良かったのだが、1本だけ残しておいた。
果実農家には「木守り」と呼ばれる習慣がある。一個だけを木に残して収穫するというものだ。それは鳥についばませる為であり、果てはその実を食べた鳥が糞をし種を蒔き、それにより果実の芽を絶やさない様にさせるためと言われている。いわば農家の知恵でもある。
きっと最後の1本を手にした客は、その美味さに気づきもう1度足を運ぶことになるだろう。ただ残念ながらお目当ての「KIRIN THE STRONG 味わいレモンサワー」が既に手に入らないということがわかっても、また別のお気に入りの商品を見つけるかも知れない。それは彼のため、ひいては店のためにきっとなるであろうことをお祈り致しましてそろそろ話を終わらせて頂きます。
ま、自分は当分、
というか年内に足を運ぶことはないけどね(爆)