氷の上のさかな

氷の上にディスプレイされたさかなの様にセカンドライフをキラキラとさせる為に今を頑張ろうといったシュールなお話。

スイーツの令和「父娘鷹」



本来ならば既に学校が始まっている。進学に期待を寄せ、楽しみにしていた子ども達にとって実に不遇な幕開けとなってしまった。いや、厳密にいえばまだ幕すら開いていない。当初は7日に予定されていた入学式も行われるかどうかもわからないまま19日まで延期となった。19日になり、また再び延期になる可能性も充分にあるだろう。

 

「ねぇ、お父さん。いつになったら学校始まるんやろうねぇ」

「ん~、お父さんも何とも言えないけど、ひょっとしたら入学式が1年遅れるかも知れないぞ」

「えっ?じゃ、どういうこと?新しく6年生になる子はどうなるの?」

「もう一度6年生をやるとか?若しくは中学に上がってお前らと同じ学年になったりして。同じ通学班にひとつ違いの後輩はいた?」

「うん、『ちは』がそう」

「そっか、じゃ来年『ちは』と同じクラスになったりしてな(笑)」

「いやゃ~、そんなん」

 

新しく中学での担任になる「予定」の教諭が、各家庭に教科書を持って訪問に回る。それが昨日から始まった。「予定」としたのは、ひょっとしたら何らかの不慮の出来事があるやも知れぬということを考慮してのことだ。このご時世、何が起こってもおかしくはない。

 

ただそれが日付も時間も指定がなく、3日間のうちこの時刻からこの時刻の間のどこかでお邪魔しますといった抜き打ち的なものなので、出かけるわけにも行かず仕方なく軟禁状態にに身を置くしかない。自分だけ「遊びに行ってきま~す」というわけにはいかないだろ?

 

「ねぇ、デザート作っていい?」

嫁が不在とこれ幸いに次女が尋ねてきたので、もちろん快諾。嫁は不在時に台所を使われるのを極端に嫌う。自分が冷蔵庫を触ることも我が家では御法度となっている。

 

「その代わり自分で全部やるんだぞ。当然、後片付けもな」

ただ材料だけは揃えてやることにした。寒天と安売りされていた苺「濃姫」だ。

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ネットで検索を重ねること約5分。『苺入りミルク寒天ムース』に決定。

 

まぁね、こう見えても料理人の端くれ、相手によっては「元」を付けることもあるがこの程度の指導はお手の物だ。拙い手つきながら小一時間で完成するに至った。

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卵黄をブランシール(泡立てて白っぽくする)したものにメレンゲをミックス

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1、そこにカットした苺を入れて

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2、牛乳と水に寒天を入れ火に掛ける。寒天が溶けたら氷水にあてとろみがつくまで冷ます

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で、1と2を合わせてカップに入れ冷蔵庫で冷やしたら出来上がり

まぁ、全貌は拝めぬまでも中々の出来だろうと推測する。ただひとつ気がかりといえばクッキングスケール、要するにはかりが壊れていたため砂糖の分量が計れなかったことだ。こんな時に役に立つのは長年の経験と勘だろう。砂糖部門だけは自分が責任をもって請け負うことにした。

 

さて、それから約二時間後、冷蔵庫で冷やした『苺入りミルク寒天ムース』をいざ実食!

 

「いやぁ~ん、お父さん、おいしい♡」

 

長女もいたく感動した様で

「おいし、おいし」

とリピートしながら食べていた。

 

「甘さもちょうどいいね。苺の甘さともバランスがいいし」

 

お褒め頂きあざーす!定年後には洋菓子店でもやろかしゃん、って考えてみたら仕事といえば砂糖を入れたことだけだった。



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