氷の上のさかな

氷の上にディスプレイされたさかなの様にセカンドライフをキラキラとさせる為に今を頑張ろうといったシュールなお話。

無意識に自堕落足りえない元日の過ごし方

娘達は年末年始と嫁の実家へ遊びに行っている。過保護なほどに優しいジジババの元にいるのは自宅よりも居心地が良い様だ。自宅と違い台所が自由に使わせてもらえることが何よりも嬉しいのだとか。ふたりしてデザートを作ったり昼ご飯を義母に代わり作らせてもらっているそうだ。

 

「お父さんは元日は仕事なんですか?」
と嫁が訊く。


「いや、今のところまだお呼びが掛かってない」

 

人手不足の業界ゆえ、お呼びが掛かればいくら朝が早い自分ではあっても夜勤を余儀なくされることがある。

 

「私はその日、仕事があるから」
それはずーっと前から何度も聞いているから承知している。


「で、俺が元日、休みだったら何かしなければいけない用事でもあるのか?」
想像出来るのは娘達を嫁の実家へ迎えに行くことくらいだ。


「いや、あの子らは2日まで泊まってくるって言ってるから2日に迎えに行ってくれればいいよ」


「じゃ、他に何かあるのか?」


「何もないよ」
なんじゃそれ。じゃあ、オレが休みだろうが休みじゃなかろうが訊く必要ねぇじゃねぇか。

 

結局、お呼びが掛かることはなく、1日は休みと決定した。とはいえ何もやることがないしやる事を考えるのも面倒だから、
「よし、久しぶりの元日休みだ。俺は昼間っから酒かっくらってダラダラと過ごすぞ」
と家族の前で宣言するに至ったわけだ。

 

案の定、大晦日は例年通り午前12時を待たずして夢の人となってしまったのだが、朝だけはやはり無駄に早い。PCを立ち上げいつもの様にボケ防止の雑記を書き上げ、アップした後はボーッと口を開けながら他人様の記事を眺め過ごしていた。まだ酒には早い。

 

朝食を済ますも嫁がまだいる手前、プシッ!とビア缶を開けるには抵抗があったので「はよ出てけ」と頭の中で考えつつ口には出さず時間が過ぎるのを待っていた。が、せっかくの時間が勿体無く、一年の計は元旦にありと走りに出ることにした。

 

自宅に戻り、シャワーを浴び洗濯を済ませると途端に昼食の時刻だ。ひとりならば冷蔵庫の中をあさりチャチャっと調理して済ませるところだが、坊主がPCの前でボーッと口を開けている。

 

「おい、昼飯食いに行くぞ」
どこがいい?と尋ねると、もしやっているならば漫画喫茶へ行きたいという。今春から就職だ。ひょっとしたらもう一緒に漫画喫茶に行くことなど無いかも知れない。これも今生の思い出と二人きり、漫画喫茶で3時間費やすこととなった。恐らく近年、二人きりで過ごす最長記録となったのではないか?気がついたら時計の針は午後4時を過ぎている。

 

「昼間っから酒飲んでダラダラ過ごすんじゃなかったの?」


「まぁ、そのつもりだったけれど、とゆーか、今の今まで一緒にいたお前が言うな」

 

結局、新年に向け立てた誓いは頓挫することになったのだが、そもそもが無精な誓いであったが為、これで良かったのかとも思う。要するに、そうすることが出来ない性格、と言うよりも体質となってしまっているのかも知れない。

 

いきつけの漫喫は3時間パックでソフトクリーム食べ放題。加えてランチも付いて総額2,240円也(二人分)。会計時にはTポイントも付与される。PayPayでの支払いも可能なのでダブルでTポイントゲット!店独自のポイントカードも有り何かとお得でお値打ちな店なのです。

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