マジックナンバー「69」愛と追憶のお買い物券
「そう言えばもうビールないよ」
と嫁が言う。厳密にいえば『第三のビール』だ。ただ長ったらしいので我が家では便宜上『ビール』と呼んでいる。
「ちょ、ちょ、それ今言う?」
水曜日の晩のことだ。
「もう1日早く言ってくれよな〜」
とライトに毒づくと、どうやら自分が言いたかったことが珍しく理解出来たとみえ、
「プリペイドなら毎日5倍デーやん」
そう、ドラッグストアでの買い物は水曜日か日曜日、もしくは両方と決めている自分がいる。何故ならばその両日は「ポイント5倍デー」だからだ。要するに火曜日にこのことを知っていたら水曜日に「ポイント5倍」でビールを買うことが出来たはずなんだハズナンダハズナンダハズナンダ…。
仕方ないから昨晩の木曜日、仕事の帰りに買いに行った。
当然、ポイント5倍は付かない。が、背に腹は変えられない。飲むのを我慢するという選択肢は自分にとって一億分の一も無い。
6缶入りをカゴに入れレジへと向かう。ふと、デザート棚に目を向けると、最上段でコーヒーゼリーが自分のことを音も立てずにジーッと見ていた。慌てて目を逸らせその場をすり抜け様としたのだが、目についた数字が悪かった。ラッキー「69」だ。
「ふっ」
こりゃやられたな、ドラッグストアも然るものだとコーヒーゼリーを手に取ると、オレンジ色のカゴにスマートインした。
支払いはいつもの様に「PayPay」だ。スマホの中に収められているポイントカードのバーコードを先に読み取らせてから会計を済ませる。
すると、
「お買い物券が発行されました」
と、レジ担当の爽やか男子が500円のお買い物券を薄いフィルムに入れ渡してくれた。
レシートを見ると、なんと!最後の69円がギリ決め手となったようだ。名実ともにラッキー「69」を体感したことに身震いするほどの喜びを頂いたのだが、何が名実ともになのかは説明しずらいので。名はともかくとして実を知りたいのであれば是非ご連絡頂けたらと存じます。