もう、おれデブでいいや
「ホントにホント、もうお前たちと一緒にランチに行けるなんてことはこの先ないかも知れないから、今日は特別にいいものを食べさせてあげよう、ふふふ」
拐かすつもりは髪は未だふさふさだが毛頭ない。学校が始まるとマジ山マジ男で休みがまったく合わなくなる。長期連休と重なればまた一緒にいられることもあるだろうが、その長期休暇も短期休暇となってしまう可能性は大だ。早くも冬休みは新年3日までと御布令が出てしまった。それを聞いて
「いぇい!俺、4日まで~」
と隣で小躍りしている坊主がいた。どうせお前なんぞ、4日が5日までだろうが10日までだろうがずーっと家に引きこもっているだけだろうが。無題に消費する電気代を払いやがれ。
「何を食べに連れて行ってくれるの?」
「ヒントは『う』が付く食べ物」
「う?うどん?」
娘達にとって特別にいいものは『うどん』なのか?それとも昨今の家庭内経済状況を憂いて遠慮しているのだろうか?自分が不甲斐ない。父ちゃん情けなくて涙が出てくらぁ by「あばれはっちゃく」
「うどんなんていつでも食べられるじゃん。もっと普段、食べられない様なもんだよ」
「普段、食べられない…、わかった!うん…」
「はい、ストップ。言うと思った。普段どころか一生食べられんゎ」
出来れば見るのも嫌だ。
「まぁ、いい。行くぞ」
ということで車で向かった先はナビが言うところの自宅から17分のところにある「川勢(かわせい)」だ。
「えっ?川魚専門店?えっ?違う、うなぎ?えーっ、やったー鰻だ、鰻」
案の定、ふたりとも大喜び。
「鰻屋で鰻食べるの初めて!」
「もう、お腹いっぱい。せっかくの鰻が勿体無いから晩ご飯なしでもいいや」
ちょっと何言ってんのかわかんないですが、まぁ、可愛い胃袋をお持ちだということはお察しします。満足してくれて父ちゃん良かったよ(涙)
せっかく鰻でスタミナをつけたので、夕方にちょと走ろうかな?なんて思ったんだけど、ヘルメット被って20mくらい走ったら思いのほか暑かったもんだからテンション下がってついついサボっちゃった。
もう、おれデブでいいや。