エコでキュートなWi-Fi工事
築33年の我がぼろ家に「エコキュート」がやって来ることになった。
えっ?「エコキュート」が何だかわかんないって?仕方ない。それでは少し説明をしてやろう。
「エコキュート」とは、ヒートポンプ技術を利用し空気の熱で湯を沸かすことができる電気給湯機のうち、冷媒として、フロンではなく二酸化炭素を使用している機種の商品名のことだ、とウィキペディア先生が仰っていた。要するに日常使うお湯を安い深夜電力を使い沸かし、それをタンクに溜め込んでおけば使いたい時に使えるといったシステムなのだ。
これによりガス代が7割節約出来るという。我が家はLPガスを使用している。都市ガスに比べて料金が高いんだな、これが。直ぐ近くまで都市ガスが来ているのにも関わらず、私道を共有している住人の一人に配管工事の了解が得られず仕方なくそのままになっている。
ただ、LPガスにせよガス代が7割も削減となれば、例え「エコキュート」で電気代が余分に掛かろうが充分に節約となる筈だ。
その工事日が8日の日曜日に決定した。日曜日には朝から新社会人になる坊主のスーツを選びに行かねばならない。よって自分は不在。ということは立ち会いは嫁ということになる。
「工事、今度の日曜日だから」
「なにの?」
「エコキュート」
「なんで、直前になって言うかなぁ」
「今日、決まったから」
「なに?なら出かけられんやん」
あからさまに不機嫌な顔をしている。
「おかぁ、来週の火曜日、家におる?」
「あんたは何なの?」
「Wi-Fiの工事が入るで」
「あんたもなんで直前になって言うかなぁ」
「今日、決まったから」
自宅でもインターネットは利用しているので、当然Wi-Fiは設置してある。が、通信速度が300Mbpsなのでそれでは遅すぎて作業に差し支えると以前からぼやいていた。何の作業だ?まぁいい。そこで身銭を切り独自の回線を引くというわけだ。
「あんたまだ稼ぎもないのにそのお金はどうやって払うの!お祖父ちゃんやお祖母ちゃんからもらったお年玉で払うつもりじゃないよね?」
聞こえていたかとは思うが返事はない。
「どうなの!」
「ちっ、うるせぇなぁ。声がでけぇんじゃ」
ジャジャーン!そこでパパが加齢もとい、華麗に登場。
「自分がもらったもんだから、どう使うかは自分で決めればいいことだろ」
そもそも何に反応して怒っているのかが全く理解が出来ない。ホルモンバランスが乱れているのか?そろそろ、そんなお年頃だ。
「もう、この男ら二人うざい!」
とわめいている。
「で?火曜日に工事ってどうすればいいんですか?」
怒り出すと言葉が丁寧語になるのが特徴だ。
「家に居ると工事中にブツブツと文句言いそうなんで居て欲しくないから家におるかって聞いた」
「わかったわ。意地でもうちにおったる!
絶対に出かけん!」
なるほど。日曜日の件もそう言えば良かったのか。坊主から学びを得たある日の出来事だった。
しばし非常事態につき人件費の削減をば。アルバイトを休ませ現場出向。徹底的に邪魔をしてきてやった。で、昨日の賄い飯。