氷の上のさかな

氷の上にディスプレイされたさかなの様にセカンドライフをキラキラとさせる為に今を頑張ろうといったシュールなお話。

「なんで山?」息子、裏山初登頂

「オレさ、ずーっとこのまま家におるのもあかんと思うんやて」

と坊主がポツリとつぶやいた。

 

いよいよ、自立に向けて気持ちが傾きだしたか?

 

「でさ、もし山に行くなら連れてってくれへん?」

「え?どゆこと?」

「や、有給中にずーっと家にいても何のために有給を取ったのかもわからへんし勿体ないと思ってさ」

 

目下、有給消化中の坊主だ。あと2日半あるらしい。「半」ってのはなんだ?まぁいい。てゆーか、なんだそんな事か。家にいればいたで一人分、余分に経費が掛かりはするが、男が自分ひとりになってしまうのも寂しいのは事実。てゆーか、紛らわしい言い方をするんじゃねぇよ。

 

「なんで山?」

「一緒に走るよりは楽しいかと思って」

 

舐めやがって。楽しいだと?そりゃ確かに楽しくはある。ただ走ることもまた楽しい。問題はそこに行き着くまでだ。ランニングにしろ登山にしろ、最初に感じることは恐らく苦痛ばかりだろう。それを押して続けることによりその先にある楽しみが見いだせるというものだ。

 

「いいぞ。じゃ、取り敢えず裏山からな」

「なんmくらい?」

「標高か?200mちょっとだ」

「大したこと無いな」

今のうちに言いたいことを言わせておいてやる。ふふふ…。生まれてきたことを後悔させてやるぜ。

 

まぁ、登り始めは体力が有り余っているから余裕を見せていた。

「登りが楽な方がいいか下りが楽な方がいいか選べ」

説明しよう。山頂アタックにコースが2つある。ひとつは緩やかな迂回コース。ひとつは岩場登りの直登コースだ。登り下りとも迂回コースを選べば楽ちんだがそれでは自分が面白くない。どうせならば「ヒーヒー」鳴くところを見たいでしょ。直登コースは登りも下り、特に下りが大変だが、それではあまりにも可哀想過ぎる。というわけで何方かを選ばせてあげたというわけだ。ということで登りは直登、下りは迂回が選択されました。

 

「ねぇ、あとどれくらい?」

「あと3分の2ってところかな」

「マジ?まだ半分も行ってないの?」

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もう、死にそう

全ては計画通りだ。ヒーヒーフー、ヒーヒーフーと肩で息をしている。歩を進め何度か休憩を試みるが自分はといえば聞く耳持たずと先へ先へとずんずん進む。

 

「ごめん、先行って。オレゆっくり行くわ」

「それはいいけど、オレは待ってないからな。自力で下りてこいよ。下り口わかる?」

「ゔぇ~~~!」

 

遅れること約1分。優しいパパはちゃんと尾根筋で待っていてあげました。

「こりゃ、明日は筋肉痛だゎ」

「それが気持ちいいんだよ」

 

しかしながら山からの風景にはいたく感激したらしく、飽きもせずずーっと見入っていた。

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こんな近場で絶景が拝める場所があるだなんて想像もしたことがなかっただろう。そしてお決まりの「ハイジのブランコ」で遊ぶ。

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童心に帰り楽しめたらしい。

 

ついでに坊主にとって久しぶりとなる墓参りコースを選択。聞けば小学生の時以来だとか。

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将来の墓守りは期待できそうにないかも。



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