氷の上のさかな

氷の上にディスプレイされたさかなの様にセカンドライフをキラキラとさせる為に今を頑張ろうといったシュールなお話。

「あんた仕事舐めとったらいかんよ」というわけでは…

坊主から「早退する」とのLINE。

 

ん?なにごと??

 

帰宅した坊主に問いただす。

「どうした?」

「いや、身体がだるいって言ったら早退しろって。で、熱を計ってメールしろと」

「熱は?」

「37.3℃」

「なぁ~にぃ~!」

 

すわコロナか?!取り敢えず自室に隔離し、そこから出てくるなと命じておいた。それが4月9日の出来事。忘れもしない、いや、忘れ様にも忘れられない自分の誕生日のことだった。

 

仕事から帰宅した嫁が坊主の靴に気がつき、

「あれ、なんで帰ってきとるの?」

と開口一番、自分に尋ねてきた。いつもながら主語がない。

 

「熱が出たらしいぞ」

と答えたらスタスタと坊主の部屋へと向かう。

 

「何度あるの?熱」

「あ”?37.3℃」

「はぁ?37.3℃?何をそんな程度の熱で早退して来とるの?そんなん熱の内に入らんやん」

「いや、早退しろって言われたし」

「あんた仕事舐めとったらあかんよ。ちょっと熱出たくらいでふざけ過ぎやわ」

 

セリフの内容とその意図が読めずまわりが皆「ん~」となってしまった。今、世の中がどういう状況にあるということがわかっていないわけでは無いと思う。現にブータロー化した旦那が日がな一日こうして家にいるわけだ。

 

ならば仕方がない。彼女がコロナじゃないと言うのならばコロナじゃないのだろう。というわけでその時をもってコロナじゃないとなった。坊主も普通に家中をベタベタと触りながら歩きまくる。

 

翌10日には36.7℃の平熱に下がっていた。ただ大事をとってという理由で仕事には出てこなくてよいと言われたらしい。まだ入社仕立てで然程必要な人材でもないということだろう、きっと、というか間違いなく。

 

動いていないのに腹は減る。例によって賞味期限切れの草餅が台所に置いてあった。ついでに一口だけ齧ってある豆大福も。

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なんだろう、この光景は。しかも綺麗に梱包し直してある。まぁ、いい。草餅に戻る。

 

ただ、さすが賞味期限切れ。既にカッチカチに固まっていた。揚げたら美味しいだろうな~。でもめんどっちいから電子レンジで我が家は「ピー」。美味しく頬張るつもりがスライムを生成してしまった。

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緑色だから「バブルスライム」か?

 

仕方がないから少し冷ます為に放置プレイして再び凝固するのを待つ。いいよ~、いいよ~、いい固まり具合だよ~、そろそろかい、そろそろいいかい?よぉ~し、いくぞ!

 

「めりっ!」

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見事、内蔵がむき出しになってしまった。まぁ、持ち前の技術を駆使してなんとか食べきったけどね。そこはやはり全日本甘党党首の威信にかけてやり遂げねば。

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