氷の上のさかな

氷の上にディスプレイされたさかなの様にセカンドライフをキラキラとさせる為に今を頑張ろうといったシュールなお話。

きっとDNA

「お父さん、Tik Tokやっとる?」

Tik Tokってやるものなのか?あ、Facebookにしても「やる」って言うか。ならば別に表現としておかしくはないのかな?

 

「いや、たまに見るけど投稿したことはない」

「何を見るの?」

「大工仕事の動画とか、アイディアグッズの動画とか…、あとはフリースタイルドラムってのも面白いぞ」

他にもアレやコレやと観ているものがあったが、なにせ相手は娘だ。無難な線でまとめておいた。それに口が裂けても言えない。

 

「アカウント持っとるの?」

「一応、取った」

「フォロワーおる?」

「7人くらいおるぞ」

「投稿したことないのになんでフォロワーがおるの?」

「知らんやん、そんなの」

知らんけど、フォロワーは全員女性だ。それに全員が全員、何一つとして投稿していない。つまりはどうせ怪しげな連中ばかりだろう。

 

「私なんてフォロワーひとりしかおらへんよ」

「なに、おまえ投稿してるの?」

「この間、漫画を投稿した」

「漫画ならばまだいいけど、顔出しはするなよ。観た人間が気分を悪くするから」

「そっちかよ。私のこと心配しろよ」

一応は心配している。

 

「でも『いいね』付いたのたった一個だけやもん」

「(笑)」

「なんでたった一個やねんって」

「ユーザー名はなに?」

「しおうめ」

「(笑)どんな渋い名前やねん。どんだけ梅ラブなんや」

「前は『なめこんぶ』やったんやけどフォロワーがゼロのままなんて名前を変えたんやて」

なめこんぶ(笑)で、しおうめにしたら一人増えたってわけか」

「たった一人やよ。私、50人以上フォローしとんのに!普通、フォロー返ししんか?」

「そういうものなのか」

 

内容は観ていないのでどんな漫画を投稿しているのかは知らないが、人に見せられるということはかなりの自信があるのだろう。そういえば宅の坊主もちょこちょこ絵を描いてはそれを売り小遣い稼ぎをしていると言っていた。ほぼ副業じゃんね。才能ってのはどこに転がってるかわかんないもんだな。

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