氷の上のさかな

氷の上にディスプレイされたさかなの様にセカンドライフをキラキラとさせる為に今を頑張ろうといったシュールなお話。

2019年3月11日 過去の出来事・8

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スキーの計画をたてると雨が降る。先週の日曜日が雨に祟られたため、その代替日を昨日にと考えていたのだが、これまた生憎の雨。

 

「もー!なんで日曜日の度に雨が降るの?!この雨男!」


次女が憤って叫んでいる。どうやら責任の所在は自分にあるらしい。過去を遡っても真冬のスキー場で雨を降らせた男だ。そこは潔く認めよう。花粉にまみれた車を洗ったこともどうやら拍車を掛けた様だ。車を洗うと必ずと言ってよいほど雨に見舞われる。

 

「友達のうちにでも遊びに言ってきたら?」


「それもいいけど…。じゃさ、ニンテンドースイッチ買って。それがあったらココアちゃんと遊べるから」


「トイプーのくせにそんなん持っとんの?」


「だから犬じゃねぇ、つーとんの。人間や、つーとんの」


よくわからないがニンテンドースイッチがあれば親友のココアちゃんと一緒に遊ぶ術があるらしい。自分の中では知識的に任天堂Wiiが最後で終わってしまっている。

 

「誕生日でもクリスマスでもないのに『はい、そうですか』とそんなものに金を出す親だと思っとんの?欲しけりゃ自分で買え。お年玉もまだ残ってんだろ?」


「この間、お父さんにお願いして3DS買うのに使ってまったもん」


「あぁ、そう言えばそうだったな」


出来るだけ安くということで、最安値で出品されているものをネット経由で代わりに買ってあげたことがある。代金は1円単位に至るまできっちりと取り立てさせてもらった。

「じゃ、仕方ない。我慢しろ」


「だったらお小遣い頂戴よ」


「実際に家のことを手伝ってもらっているのはお母さんなんだからお母さんにもらってこい」


「わかった」

 

しばらくするとバタバタと大げさに足音をたてこちらにやって来たかと思えば、いきなり床に寝転がって
「お小遣い頂戴、お小遣い頂戴、お小遣い頂戴!」


と四肢をバタつかせるいつか見たことがある得意のパフォーマンスでもって再び懇願して来た。


「お母さん、お父さんの方がお金持ちだからお父さんにもらって来いって言ってくれへんもん!」


案の定、というか、おそらくこうなるだろうとは易く想像がついた。

 

「行きたいスキーも我慢する、習いたいと言っていた合気道も、今通っているそろばんも我慢するってのならば毎月決まった小遣いをそれこそ1,000円でも2,000円でもくれたるぞ。その方がお父さんにとっても懐が傷まなくて済むもん。我慢したくないってのならばお母さんに根気よくお願いすることだな」


「わかった」

 

あっさり引き下がったと思いきや、お次は手に何か箱の様なものを携えてまたしても戻ってきた。


「お小遣いって言うとさ、お父さんもお母さんも抵抗感があると思うんだよね。でさ、募金箱を作ってきたの。というわけで何卒恵まれないあづ紀に愛の募金をお願いします」


斜め45度にお辞儀をし、両腕を突き出す滑稽な姿はどこで身につけてきたのかは知らぬがなかなか堂に入っていた。


「(笑)わかった。お父さんな、いつもポケットにある小銭をそこら辺に置く癖があるから、それを見つけたらその募金箱に入れておいてくれ」


その様な癖は一切ないが、次女の苦肉の策に少しのってみたいと思った。

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