氷の上のさかな

氷の上にディスプレイされたさかなの様にセカンドライフをキラキラとさせる為に今を頑張ろうといったシュールなお話。

女子力の高さはその母親に比例するのかも

バタバタと落ち着きのない足音がする。その後、襖をパシンッ!と開けるなり

「お父さん、頼みがあるんやけど」

と次女が切り出す。純和風の我が家に開き戸があるのはトイレと風呂のみ。あとは全て襖か引き戸だ。

 

「いや、断る」

「あ、そう。じゃまたお願いするね。って、またじゃないわい!話を聞いてから断れよ!」

 

どうせろくな話じゃない。蛇足だが「ろく」は漢字で「陸」と書き、土地や面が平らなことをいう。そこからまともな事や正常な状態を「ろく」と呼ぶ様になった。因みに宅の坊主の名前は「陸」と書き「ろく」と読ませる。また1円にもならないことを教えてしまった。

 

「あのね、ココアちゃんにバレンタインのチョコレートをまだ渡してないから送っていって欲しいの」

「なんだ、まだ犬と付き合っているのか。犬にチョコは駄目だんだぞ」

「だから犬じゃねぇっつーの。人間やっつーの。ねぇ、送ってって」

 

小学校3年生から付き合いのある同級生で、今は違うクラスになってしまったが今でも互いに親友と呼び合っているらしい。

 

「自転車で行けよ」

「えーっ、だってめんどくさいもん」

「親友の為だろが。めんどうくさがってどうするんや」

「まぁまぁ、そう言わずに。どうせプータローなんだからヒマでしょ?」

痛いところを突きやがる。

 

「ちっ。仕方ねぇな」

ってことで送っていくことになった。

 

「自宅はどこ?」

「うんとね、取り敢えず学校の方まで行って」

言われるがまま中学校に向けて車を走らせた。

 

「どこへ行くつもり?」

「中学校」

「違うて。小学校やて」

「お前、今は中学生だろ。学校って聞いたら普通に中学と思うだろが」

「あ、そうやね。ははは」

 

はははじゃない(キートン山田風)

 

「で、学校の北側、南側どっち?」

「北ってどっち?」

とか、

「うんとね、そこ真っ直ぐね。まだ曲がったら駄目やよ。違うて!そこじゃないて。まだ真っ直ぐやて!」

「わかっとるゎ!方向指示器出してねぇだろが!」

とか何やらかんやらモメながらも到着。無事、お互いにチョコレート菓子を交換することが出来た。

 

「ココアちゃんのお菓子、めっちゃ女子力高いわぁ~!なんか私の恥ずかしい」

「お母さんに手伝ってもらったんだろ」

 

次女からのプレゼントはチョコレートマフィンだった。

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食べる前に写真を撮れば良かった

「一応、うちも手伝ってもらったんやけど、うちのお母さん、分量も図らずに『テキトーでいいゎ、こんなもん』とか言ってココアパウダーガバガバいれるもんで、生地が真っ黒になってまってね、あとでチョコペンでメッセージを書こうと思っても何が書いてあるか読めん様になってまったんやて」

「去年も結局、手伝ってもらって失敗してんじゃん。最初からオレにお願いすればいいのに」

昨年も同じ様なことがあり失敗。結局、自分が手助けして完成させたことがある。

 

「来年、頑張ればいいよ。でも、手伝って欲しいならオレに頼めな」

「うん、そうするわ」

 

あづ紀とココアの和洋折衷はまだまだ長く続きそうだ。てか、食べる前にココアちゃんの女子力の高さを見せて欲しかった。

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似たもの親子かも~

 

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