氷の上のさかな

氷の上にディスプレイされたさかなの様にセカンドライフをキラキラとさせる為に今を頑張ろうといったシュールなお話。

のらりくらりエンドレス

「お父さん、お話があるの」

「なに?」

「帰ってからのお楽しみ」

だったらわざわざLINEなんてしてくるんじゃねぇよ。わざわざ気を揉ませることしやがって。

 

言わずと知れた次女のことだ。どうせロクでもないことに決まっている。ついでに言うなら嫁のスマホからLINEしないでくれないかな。ややこしいから。ま、文面を見れば誰が送ってきたかは想像が出来るけど。

 

嫁からのLINEはほぼ単語しかない。

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帰宅する。案の定、飛んでくる。開口一番、

「本、全部読んだよ!」

だった。

 

『あつまれ どうぶつの森』をねだる次女に、本を10冊読んだら買ってあげると鼻先に人参ををぶら下げたところ、やっとのことで読み終えたらしい。これで楽しみにしていたゲームソフトが買ってもらえると期待しての勇み足だったわけだ。

 

ただ「お楽しみ」ってのは告げられた方が楽しい思いをする事が出来るからお楽しみって言うんじゃないのかな?まぁ、いい。

 

「全部、読んだという証拠は?」

「えっ?」

「だから証拠」

少々、意地悪かなという思いはあるが、だってそんなこと本人が言うだけでわかんないもん。

 

「えー!そんなの無いけどちゃんと読んだもん」

「わかった。じゃ、感想文を書いてもらおうかな」

「マジ?めんどくせー。もう、自分で買おっかな」

「なんだ、お金があるのならば最初からそうすればいいのに」

「ねぇよ」

「じゃ、400字詰め原稿用紙に2枚ね。一冊につき」

 

ということで新たな試練が加わった。お次はどの手をつかってのらりくらりとしてやろうかと画策中。

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