氷の上のさかな

氷の上にディスプレイされたさかなの様にセカンドライフをキラキラとさせる為に今を頑張ろうといったシュールなお話。

iPhoneよ、何処へ~

職場に着き初めて携帯電話がないことに気がつく。ひょっとして車の中に置き忘れたか?たまにサイドボードの上に置くこともあるからだ。そして置いたままドラッグストアなどで買い物をし、PayPayで支払いを済ませようとしてそのことに気がつくことが多々ある。今回もそれを期待して駐車場まで戻り車の隅々まで探すもとうとう出てこなかった。

 

確かにパンツの左後ろのポケットに入れた記憶がある。どこかで落としたか?いつもの様に上着の胸ポケットに入れておけば良かったと後悔するも後悔先に立たずだ。常用しているジャケットの胸にはほぼ携帯電話専用のポケットが施されている。

 

自宅に忘れてきたのかも知れない。たが確認を取ろうと思っても家人はひとり残らず不在だ。仕方がない。次女の帰りを待つとするか。職場のPCから次女にLINEでメッセージを送る。

 

iPhoneを家に忘れたみたい。お父さんの部屋にあるかな?」

すると1時間16分後に返事が来た。

「部屋じゃなくて玄関のすぐ側にあるよ」

 

なんと!ひょっとして靴を履く時にでも落としたか?これで一安心。多少、手持ち無沙汰ではあるが元々は存在しておらず、それほど必要でもなかった道具だけに1日くらい手元になかったとて仕事にもプライベートにも何ら差し障りはない。ただ現代社会において必要といえば必要なアイテムだ。帰宅すると早速「玄関のすぐ側」を探してみる。

 

「どこだよ、『玄関のすぐ側』って…」

どこをとっても『玄関のすぐ側』だ。それにそこにそのまま放置しておいたと考え難い。恐らく何処か別の場所に移動させたであろう。自分ならばそうする。もう、直接訊くしかない。ただ時計の針は間もなく午前12時になろうとしている。当然、次女は就寝中だ。ただ背に腹は代えられない。申し訳ないと思いつつも起こすことにした。

 

「おい、あづ!あづ紀!」

声を掛けたくらいでは起きない。夢の住人にでもなっているのか寝言まで発している。仕方がないから身体を直接ゆさぶり名を呼ぶと、やっと現実に引き戻すことが出来た。

 

「あづ、お父さんのiPhoneどこ?」

目をこすりながら

「私達の通学カバンが置いてある横にある」

 

言われた様に見に行くも、欠片もそこに置かれたという形跡がない。

「ごめん。起きて来てくれん?」

仕方がないなぁ、といった素振りで案内してくれた先にあったのはiPhoneではなくiPadだった。

 

「これiPadやんけ!」

あづ、おまえもか。嫁は最近になってやっとiPhoneiPadの区別がつく様にはなったものの、最近まではiPadのことを大きなiPhoneと呼んでいた。

 

「え、これのことじゃないの?」

「うん、ごめん。わざわざ起こして。おやすみ」

 

仕方がない。最後の手段だ。PCで「iPhoneを探す」を発動することにする。これで二回目だ。一度は駅前でベロベロに酔っ払った折り、iPhoneを紛失させた時に発動させた。示された場所は自店の外、それもガスボンベの上だった。そこに置いた記憶など全くない。実は同じ日に財布も紛失しちゃったんだよね。それは隣の店のご主人が大事に保管をしておいてくれ難を逃れた。

 

自室へ行きPCの電源を立ち上げようと腰をおろすと、違和感がある。硬いものがお尻の下に。も・し・や…。

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本当に次女には悪いことをした。謝っても謝りきれぬ。恐らく出勤前に腰を下ろした際にぽろりとポケットから落ちたのであろう。ホワイトデーも近い。次女には男梅グミを大奮発してあげようと思う。

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