氷の上のさかな

氷の上にディスプレイされたさかなの様にセカンドライフをキラキラとさせる為に今を頑張ろうといったシュールなお話。

検便

検便のあれを貰ってきてくれと嫁が言う。

「検便?」

「そ、検便」

「で、あれってなんや?」

「あれはあれやん。検査するやつ」

「自分で検査するんか?」

「ちゃうわ。便を取るやつ」

「なんだ?大腸に癌でも出来たか?」


殺しても死ななさそうな奴なのに、一丁前に健康には留意しているんだな。

「違う。あん子の。就業体験に行くのに必要なんだって」

以前、見学に行った障がい者が就業するパン屋での就業体験が決まったとか。


「あん子の?学校で必要ならば学校で配られるもんじゃないのか?」

「でも、貰ってきたプリントには自分で取りに行ってくれって書いてあるから」

こんなケースは初めてだ。


「で、どこに取りに行けばいいんだ?」

「衛生なんたらかんたらってところ」

「そんなんでわかるかい!プリントは?」

「それが何処かに行っちゃって探しても見つからないんよ」

ったく、何してんだよ。


そこで「岐阜市・検便」で検索すると、「岐阜市衛生試験所」の名前が出てきた。岐阜薬科大学のキャンパス内にあるという。また辺鄙なところに作ったもんだな。仕方がないから取りに行くか。プータローの宿命だ。


その前に電話を1本入れてみる。本当にそこへ行けば検査キットが手に入るかどうかの確認だ。

プルルル~プルルル~ガチャ。

「はい、岐阜市衛生試験所の◯◯です」

「すみません。検便の検査キットは取り扱いがありますか?」

「ありますが、民間の検査会社の方が良いですよ。公的機関は値段が高いですから」

「え?そうなんですか?」

「はい、いつも『なんで公的機関の方が高いんだ?』とお叱りを受けるんです」

「どこかご紹介頂けるところはありますか?」

「中央臨床検査センターというところがあります。電話番号を言いましょうか?」

「あ、大丈夫です。検索してみます」


試しに「岐阜市、検便、料金」で検索してみたら、1,840円とあった。え?そんなに取られるの?思ったよりも高いね。民間の方が安いとはいえ、ここまでの事はないもののある程度の覚悟は必要だろうな。


取り敢えず行くだけ行ってみる。

「すみません。検便のキットが欲しいんですが」

「はい、じゃこれ持って返って書類を添えお出し下さい」

「お幾らですか?」

「料金を頂戴するのは検査の依頼後になります」

「幾らくらいするんですか?」

「どこまで調べるかによりますが、概ね700円くらいです」

公的機関の半分以下やんけ!

「GWに入りますと休みになりますから、それまでにお持ち下さいね」

「はい、わかりました」

やはり自分で調べてみるってことは何事に於いても必要だね。


その昔、一緒に働いていた4つ下の従業員が、学生の時に便の採取をすっかり忘れて通学途中に転がっていた犬の糞を採取して提出したことがあったと語っていた。そうしたところ、おびただしい寄生虫が見つかり保健所から親が呼び出され、

「子どもに何を食べさせてるんだ!」

と叱られたと笑っていた。そんな話を思い出した。

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