氷の上のさかな

氷の上にディスプレイされたさかなの様にセカンドライフをキラキラとさせる為に今を頑張ろうといったシュールなお話。

飛騨高山よりの使者だった。今は岐阜市民。

かれこれ3年の歳月が経過した。

 

自分はその時いったい何をしていたかは記憶にないが、いつもの通りなら恐らくボーッとスケベなことでも考えていたかと思う。寝てさえいなければ大抵の場合はそんなところだ。そこに彼が現れた。

 

「あの、すみません」

その言葉に顔を向けると、そこには細面の美男子が立っている。例えていうならば小栗旬オグリキャップを足して宿儺かぼちゃで割った様なタイプだ。若き日の田中星児の様でもある。

 

「はい?」

「あの、実は高山から参りまして、地元食材の卸売などをやっておる食品会社でして」

「え?わざわざ高山から来たの?」

「はい」

「マジで?ちょっと中に入りゃ」

と店の中へ手招きをする。聞けば高山市ではほぼ独占状態の食料品卸会社ではあるのだが、地元のみではどん詰まりということで、より販路を広げる為に岐阜市にまで来て飛び込み営業を始めたのだとか。

 

彼にとって運が良かったのは、自分のルーツが旧大野郡宮村、現高山市一之宮町だったことだ。子どもの頃から飛騨食材には慣れ親しんていたし、高山という町には愛着があった。

 

その頃は岐阜駅前も飲食店観光地として頭角を現わしつつ、県外客のみならずインバンドも多く訪れる様になっていた。観光客というものは、その多くが旅先でその地のものを味わいたがる。ところがだ、飲食観光地として一番恐れているのはそこなのだ。多くの岐阜市民が知る様に、岐阜市には酒の肴になる名物がほとんどない。はっきり言おう。ほぼ皆無だ。

 

無理やり述べるなら、夏の「枝豆」に夏の「鮎」、あとは「苺」に「富有柿」くらいか?フルーツを肴に酒など飲めん!となれば市外の物に頼らざるを得なくなる。幅を岐阜県全域にまでスケールアップすればメニューもかなり彩が濃くなるだろう。

 

食材にしても「飛騨牛」や「奥美濃古地鶏」に加え様々なブランド豚が存在するし、「けいちゃん」「とんちゃん」「朴葉みそ」などの料理もメニューアイテムとして加わることになる。それに飛騨地方でしか食されない独自アイテムなども手に入れることが出来たならばかなり地方色豊かな店が出来上がるではないか。

 

そんな時に渡りに舟と現れたのが彼だった。ところが今回のコロナだ。末端消費者の動きが鈍れば立ち所に業績として反映するのは食品業者だ。辛いのは我々ばかりではなく、その先にいる業者もすべて一緒だ。仕事がなければ人も余る。ならばいっそのこと、せっかく築いた販路だ、より拡大路線を目指してそこに拠点を作ってしまえ!そして人員も送り込み人余りを緩和せよ!とこの度、駅前にサテライトショップをオープンさせてしまった。先鞭を着けた彼が店長を勤める。単身赴任かと思いきや、子どもを転校させてまで家族ごと岐阜市に居着く覚悟だ。

 

そんなわけでつい先日のオープンに合わせちょっくら陣中見舞いにと行ってきた。

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店内には土産物として使える商品も多々取り揃えら得ている。

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これからはどこで何をして来ても「食材の調達で高山に出張だった」と言えることが出来て超便利かも。あ、今の話は聞かなかったことにしておいて下さい。



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