氷の上のさかな

氷の上にディスプレイされたさかなの様にセカンドライフをキラキラとさせる為に今を頑張ろうといったシュールなお話。

隠し玉な女

なにか食い物が無いかと冷蔵庫の中を漁っていたら、気配を感じたのか嫁がキッチンにやってきた。それも小走りで。慌てて冷蔵庫の戸を閉めたが間に合わず見つかってしまった。

 

「やらしいね~、人がいない時をねつらってコソコソと。探しても何もないよ」

冷蔵庫はいわば嫁の聖域なので何人たりとも見てはならないとされている。それが我が家の掟だ。ただ、自分もこれから出勤という時だ。空腹で仕事に出るのも中々辛い。

 

「そういえば私の『コーンパン』食べたでしょ?」

「なんじゃそりゃ?」

「私が隠しておいた『コーンパン』が知らん内になくなっとるし」

「知らんわ、そんなもん」

事実、身に覚えがない。そもそも、パンが食べたけりゃ自分で買ってくるわい。

 

「なんか隠しておいたカップ麺もなくなっとるし」

と疑わしい目で此方を見る。オレはそんな浅ましい人間じゃねぇ。つーか、パンにせよカップ麺にせよ、なぜ隠す必要があるんじゃ。その意味がわからん。堂々と置いておけばいいじゃないか。下手に隠そうとするもんだから在庫が把握出来なくなっているだけじゃねぇの?

 

「知るか、そんなん。それにカップ麺くらいオレだって隠し持ってるわ!」

いや、別に隠しているわけじゃないんだけどね、便宜上そう説明した方が事が面白く運ぶような気がして。

 

実は先日のこと、「山之上富士山」登頂に成功した時のことだ、その日のランチはアウトドアのホットサンドで満足してしまったのだが、ひょっとしたらそれだけでは足りぬのではないかと危惧し、その前日にコンビニで買ったカップ麺をも持参していたのだ。結局、カップ麺にまでは食指が動かずそのままずーっとリュックサックの中で出番がくるのを待っていた。

 

とはいえこんな時だからご登場頂きましょう。カップヌードルのスーパー合体シリーズ、「濃厚!うま辛味噌豚骨」だ!

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まぁ、随分と前に出た商品なので今更感は否めない。棚にひとつだけポツーンと寂しそうに佇んでいた。いわば売れ残りだ。因みに購入先は「デイリーヤマザキ」だ。既にブームが去った商品を未だに温存しておくだなんて芸当はさすが「デイリーヤマザキ」ならではだ。

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特製旨辛ラー油が決め手!

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ど真ん中に投入



味は可もなく不可もなくで特筆することも何もない極々平凡なものだったが、平凡こそが幸せ、生活に1mmの波風も立たせないが信条の自分にとり、最上級の味わいだったと安藤百福さんに免じて褒めておいてやろう。日清に忖度するといった理由は全くない。

 

お湯を沸かしていたら

「それだけでは足りんでしょ?これもあげるゎ」

と冷蔵庫の中からレンチンの炒飯を出してくれた。

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「なんや?これも隠しておいたんか?」

「失礼やね。冷蔵庫の中で隠し事なんか出来るわけないやないの」

 

じゃ、なぜ冷蔵庫の中を見られるのを嫌がるのか甚だ疑問が残る。

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