氷の上のさかな

氷の上にディスプレイされたさかなの様にセカンドライフをキラキラとさせる為に今を頑張ろうといったシュールなお話。

「燃え尽きたぜ…真っ白にな…」

一話完結と思いきや、意図せずとも二日間に及ぶ長編ミステリーとなってしまった「生ガトーショコラ」事件。LAWSONの新商品「カスタードを味わうパイ」を食べた際に手についた血のりをペロペロと舐め尽くすと帰宅の途についた。言い忘れたが昨日の話は全て市場へ仕入れに行った帰りに起きた出来事だ。

 

LAWSONを求めて随分と遠回りしてしまった。無駄にガソリンを炊いて温暖化に更なる拍車をかけてしまったじゃねぇか。グレタ・トゥンベリちゃん、ごめんなさい。

 

岐阜市都通を北上し大縄場大橋へと向かう。すると右手側に見るのも嫌なLAWSONが見えてきた。「LAWSON岐阜都通店」だ。散々、オレをコケにしやがって。もう、お前なんて絶好だ!とも思ったが、ステアリングが勝手に右に切られスーッと何事もなかったかの様に駐車場へと入っていった。自動運転か?

 

一応、一応だよ。あくまでも期待せず、一応、スイーツコーナーを覗いてみようではありませんか。もし「生ガトーショコラ」が無かったとしても引け際をスムーズにするにはなるべく店員に目撃されない方がいい。死角を選び音も立てずに入店すると一目散にスイーツコーナーを目指す。

 

おっと、誤算だ。いきなりラスボスの登場だぜ。おばちゃんスタッフがまさにスイーツコーナーで品出しをしている真っ最中だった。ロン毛パーマでブルーのアイシャドウ、真っ赤な口紅とその毳々しさに少々ビビりたじろいていると

「どうされました?」

と声を掛けられた。以外と笑顔はキュートだ。

 

「これってありますか?」

棚に掲げられた「生ガトーショコラ」のポップを指差す。

 

「あぁ~っ!これね」

と言うと品出し用の台車をガラリと引く。そこに現れたるはなんと!あれほど夢にみた「生ガトーショコラ」、それもフル充電だ。

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「えっ!いっぱいある!実はこれ探して何店舗もハシゴしたんですよ~」

「そうでしょう、そうでしょう。これね、出したら直ぐに売り切れちゃうの。各店舗に20個ずつしか配布されないので直ぐなのよぉ」

「じゃ、頂いておきます」

「何個でもいいから買いだめしちゃって♡」

見た目はともかくめちゃくちゃいい人じゃん。

 

というわけで5人家族だからと理由をつけて人数分を頂いてきた。

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もう、思い残すことは何もない。

 

「燃え尽きたぜ…真っ白にな…」

 

えっ?「生ガトーショコラ」ですか?それはそれでキムタク似の自分いわく「普通に美味かった」です。

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