氷の上のさかな

氷の上にディスプレイされたさかなの様にセカンドライフをキラキラとさせる為に今を頑張ろうといったシュールなお話。

「八百屋が作るスイーツが好評」との噂を聞きつけて…

「こちらスネーク。これから店内に侵入する」

今回は八百屋が作るスイーツが好評と聞いて地元の八百屋をスニーキングしてみた。

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お待たせ致しました、お久しぶり。待ちに待ったスイーツ侍のコーナーです。えっ、お待たせされてない?少しくらいはお待たせされろよ。

 

以前からその所在は知っていはいたのだが、正直、足を踏み入れたことがなかった。地元では一応、商店街と呼ばれている古い街にその八百屋はある。近くにはかつて黒野城と呼ばれる城があったことから、江戸時代には城下町として賑わっていたに違いないことは全く根拠のないことなので単なる自分の推測に過ぎない。ただ商店街のところどころに当時の面影を残す古い門扉や土塀が今でも現存する。

 

で、潜入を試みるのだが、入口にいきなり「八百屋が作るスイーツが好評」と書いたポップが貼られていた。

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自分で言ってれば世話ねぇな。

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フルーツサンドもあるでよ

 

もちろん見るだけではない。買うことが目的だ。野菜、果物、惣菜に弁当と品数あれど、一切合切を無視して一路スイーツコーナーへ向け匍匐前進を続けた。あった!とうとう見つけたぞ。あれが目指すべきスイーツコーナーだ。

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「なにがいいかな~♡」

なんて独り言をつぶやきながら物色していると、背後から人の近づく気配を感じた。これが「ゴルゴ13」なら話の筋でいきなり殴り倒すところだろうが、自分は良識のある社会人なので穏便に済ませようとしたところ、いきなり

「こんにちは!」

とその背後の人物が声を掛けてきた。

 

細おもての美男子がそこにいた。その八百屋の跡取りだ。実は微かに面識がある。だから見つからない様に見つからない様にと文字通りスニーキングしていたのが、いきなりミッションフェイルドしてしまったではないか!

 

「昨日、僕店行きましたよ」

「あ、そうなの?ありがとう」

職場の系列店に顔を出してくれた様だ。

 

実は彼がまだ学生時代、自分が店長を務めていた店にアルバイトの面接に来たことがあった。が、採用を見送った経緯がある。なぜ見送ったのかは記憶になかったのだが、微かな面識があるとはその時のことだ。

 

「昔、面接に行って断られましたよね?」

「あぁ、そういうこともあったかな?」

「あの時、自分、金髪にしてて、おまけに面接の時刻に遅刻したんですよ」

「そうだっけ?」

「そしたら話も聞いてくれずに帰れって」

「酷いこと言う奴だな」

「あんただ、あんた!」

採用を見送った経緯がこれでわかった。当時は自分もかなりとんがってたんだな。今では角という角が全て取れたコロコロと落ち着きのない球体が如くだ。

 

言うだけ言うと「じゃ」と忙しそうに去っていった。完全にスイーツ侍のコーナーから逸脱してしまっている。

 

数ある中から自分が選んだのは「スィートパンプキンテリーヌ」と「シャインマスカットの手作りカスタードタルト」に表題は無かったが明らかな「モンブラン」だった。

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自宅に持ち帰って「実食!」

例によって例のごとく、いつも通り寸評は避けるがどれも普通に美味しかった。皆、先ほどの彼の手作りだとか。そりゃ、手作りだろ。足で作れるものならば作ってみろ、と次回会った時に言ってやろうかと思っている。

 

以上、スイーツ侍のコーナーでした。

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