当店だけの味「中華風焼そば」を8分で食す
ファストフード店でもなければ多くの店は午後2時でランチタイムが終了するかと思う。では2時までに飛び込めば良いかといえば、どうやらそういうことでは無いらしい。2時でシャットアウトするからそれまでに召し上がって頂きたいという店も中にはある様だ。
普段は自宅で昼飯を済ませてから出勤するのだが、昨日は所要がありたまには外でと考えたわけだ。仕事は目下時短営業といえども終了するのは通常ディナータイムと呼ばれる時刻のずーっと後だ。あまり早くに食事を済ませてしまうと後半に差し掛かりハンガーノックアウトの危険に迫られる。そこで冒頭の考え方に従いランチタイムを2時までと謳っている定食屋に飛び込んだ。
「ごめんなさいね~。昼はもうお終いです」
「あ、そうでしたか」
つまり自分の認識が甘かったということだ。考えてみたら居酒屋でも就業前にラストオーダーを訊くもんね。ただ、かつては昼営業も経験した上での自分にはない認識だったということだ。
こりゃ困ったぞ。時間は既に2時を過ぎている。これからファストフードを目指すにも今いる場所からは利便性が悪すぎる。時間が許されれば良いのだが、その後は仕事に直行せねばならないからだ。
車を走らせているとまだ看板が点っている店がある。地元ではそこそこ有名な「飛騨天狗」だ。
そこそこ有名ではあるものの、自分はまだ利用したことがない。理由は簡単。駐車場がないからだ。しかし、時間が押すばかりでもはや四の五の言っていられない。店の真ん前に車を横付けする。大きな声では言えないが、小さな声で言ったところで結果は同じ。いわゆる違法駐車だ。
入店する。
「まだ、いいですか?」
客は皆無だ。店主は厨房の中で腰を掛け新聞を読んでいる。
「あぁ、いいよ」
ふぅ、助かったぜ。
「なににしましょう?」
そういえば表に「当店だけの味 中華風焼そば」と張り紙があったのが気になった。ではそれにしてみましょう。
「あと、から揚げも下さい」
遅くに飛び込んでおいて単品だけでは申し訳ないと思ったからだ。このパンチの効いた気の使い方は自分ならではだ。でもよくよく考えてみたら閉店間際に余計な物を頼みやがってと忌々しく思われたかも知れない。
「同業者さん?」
ギクッ!なぜわかった?いやいや、バレてないはずだ。何せご主人とは初対面。なにか自分のキムタク似のツーブロックから醸し出されるものがあったのだろうか?
「いえ、違います。行った先々でランチは終わりだといわれちゃって…。やっていて良かったです」
便宜上、先々という言葉を使ったが、実際に断られたのは1軒だけだ。
「はい、おまちどうさま」
おぉ~、これが「当店だけの味 中華風焼そば」か。
五目焼きそばとどう違うのだろう?味わいは…、うん中華だね。わかりやすく言えば「長崎皿うどん」の麺がパリパリじゃない焼そばバージョンといったところか?
思いの外、ボリューミーだったので、から揚げを追加注文したことを少々、後悔した。から揚げもカリッと揚がってもちろん美味しい。
実食、約8分で店を出る。路駐してある車が気になって気になって仕方がなかったからだ。今回はゆっくり出来なかったが、次回は娘たちとのんびりと来てみようかな?「また、きったねぇ店かよ!」って言われそうだけど(笑)