天然アユの季節到来。紆余曲折の末に…
「やな」と聞けば岐阜在住であればきっとアレしか頭に思い浮かばないだろう。悟朗?六朗?それ「やな」じゃなくて「なや」だ。じゃなくて「やな」。漢字で「梁」と書く。
岐阜は海が無い代わりに川が多いので、県内至る所に「やな」があり初夏から秋にかけ鮎のフルコースが提供される。が、月の売上額はともかくとして、「やな」の本格シーズンは秋。つまりこれからだ。産卵の為に川を下ってきた鮎を「やな」におびき寄せ一網打尽にすることにより天然のアユを無料で手に入れることが出来る。まさに濡手に粟だ。
ただ、それも今の時季だけなので、当然初夏から夏場にかけては養殖のアユ、若しくは昨年売りきれなかった天然のアユを冷凍しておいて使うという方法を取らざるを得ない。だから毎年、この時季を待ってやっと「やな」に行くことにしている。
てなわけで、さっそく昨日行ってみた。所は岐阜県郡上市大和町、「杉ケ瀬ヤナ」が名称だ。
ホームページを見ると「ヤナと言っても観光ヤナでは客に提供される鮎が養殖なのは珍しくありませんが、こちらは鮎が落ちなければ営業しません。したがって出てくるのは天然の鮎のみです」と書かれている。
先ずは清流「長良川」のせせらぎの音で癒やされる。残念ながらこの時に落ち鮎は無かったが、落ちてきたアユを溜め込んでいるのであろう、生簀の中には数十尾の泳ぐ姿が見られた。
さっそく店に顔を出す。
「すみません。3名ですがいけますか?」
「お待ち頂くのであれば。ただ、お席がご用意出来るのは5時過ぎになります」
「へぇ~、5時ね」
今、何時だ?腕時計は午前11時30分を指している。
「また来ま~す!」
そんな時間まで待てすか!晩ごはんを食いに来たんじゃねぇぞ!
というわけで即座に諦め郡上八幡に向かうべくして引き返す。それがね、郡上八幡も郡上八幡で緊急事態宣言を物ともせず人で溢れかえってたのよ。先ず駐車場がどこも満車状態。オマケに飲食店にも長い行列が出来る始末。何とか遠方に空き駐車場を見つけたまでは良いものの途端に昼食難民に陥ってしまった。もう、こうなったらどこでもいい。すんなりと入れる所は何処かにないものか?
ふと目に止まったは「レストラン」の看板文字。
その横にはカタカナで「キッチン」、平仮名で「なお」と書いてある。なんだかわかんないけどここにするぞ!と言う前から呆れ顔の次女だった。そ、そんなに「きったねぇ店」じゃねぇだろ?幸いにして中はガラガラすっからかんだ。
なぜ、ここだけ?考えられることとすれば値付けが観光地価格になっていることか?「カツカレー」1,200円はちょっとばかし高くないかい?
というわけで探究心旺盛な自分は「カツカレー」を注文。
無難を愛する次女は味噌カツとエビフライが付く「Aランチ」を。
長女は自分に追随して同じく「カツカレー」となった。因みに「Aランチ」の方が1,000円と「カツカレー」よりも200円安い。
して味わいや如何に?
うん、美味い。美味いが極めて普通。辛味は全く無いが香辛料の風味はちゃんと利いている。特筆すべきはカツに予めソースが掛かっていることだ。
このソースがフルーティーで甘い。そしてちゃんとバランスが取れカレーにも合う。あと400円安かったら絶賛していたかと思う。
しかしながらシルバーウィークを完全に舐めきってた。これ、冬になったら絶対に第6波が来るよ。なんか確信しちゃったかも。