氷の上のさかな

氷の上にディスプレイされたさかなの様にセカンドライフをキラキラとさせる為に今を頑張ろうといったシュールなお話。

『ハヤシライス』生みの親、早矢仕有的の出身地で『えなハヤシ』を食す。

「苗木城址」で石垣を舐め、「馬籠宿」で石畳を吟味していたら、その中途半端さからか無性に腹が減ってきた。どうせならば少しでもかじっておけば良かったよ。取り敢えず中津川市を後にし帰路につき恵那市へと入る。

 

恵那といえば、ほらあなた。ハヤシライスでしょ。ということで、「ハヤシライス」の店を探すことにした。え?なぜ、恵那がハヤシライスなのかだって?そんなことも知らないのか君たちは。恵那といえば、ほら、「丸善」創業者の早矢仕有的の出身地なのだよ。そして、その早矢仕有的が考案したのが「ハヤシライス」なわけだ。よって、恵那市では町おこしの手段として「えなハヤシ」なるものを売り物にし、飲食の業態を問わず提供している。

 

ただ、どこへ行けばよいのか?恵那のことはよくわからない。ここはひとつ、恵那在住の恵那人に聞いたほうが手っ取り早かろうと、古くからの友人に連絡をとってみた。

 

「え?嘘。恵那ってハヤシライスが売り物なの?知らんかった」

恵那人、お前もか。ぜんぜん、使い物にならねぇじゃん。とはいえ、町のことをよく知る友人というのにわざわざ又聞きをしてくれたのみならず、そこで一緒にランチをしようと合流することになった。

 

店名は「エスポワール」。

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どうやら出で立ちはカフェの様だ。自分だってたまにはオシャレな店にも行くんだよ。ただ、ひとりでは無理かも知れない。玄関横に「えなハヤシ」の立て看板が飾られている。

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間違いなくオンメニューされている様子だ。

 

時刻は12時を30分ほど回った頃だったが、店内に客は人っ子一人いなかった。最初の客なのか最後の客なのかも判断出来ない。

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「すみません。『えなハヤシ』を下さい」

「『えなハヤシライス』と『ロコモコ風』がありますが」

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5秒悩んだ末、『ロコモコ風』に決定。なんのこたぁない。ハヤシライスにハンバーグと目玉焼きがトッピングされただけだった。

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この『えなハヤシ』にはレギュレーションがあって、米は古代米を使用し、ルーには「恵那山麓寒天育ち三浦豚」という品種を使わねばならないらしい。そこさえ抑えておけばあとは何でもあり。洋食屋には洋食屋の、和食屋には和食屋の流儀に則って提供すれば良いとのこと。

 

じっくりと時間をかけて煮込んだルーは、酸味と甘味が渾然一体と化し多少、豆っぽい香りがする古代米とのバランスもよく非常に美味しくいただくことが出来た。

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「これ、お土産に」

「え?そんな悪いからいいよ」

「そう言わずに」

「あ、そうですか」

と恵那人にお土産まで頂いてしまった。なんて粋なはからいなんだ。感謝の念に堪えません。

 

恵那市蛭川にある国の天然記念物「長瀞(ながとろ)のひとつばたご」を模した地元の銘菓、創業百有余年の「菓舗ひとつばたご」が送リ出すその名も「ひとつばたご」だ。

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何から何まで「ひとつばたご」だよ。

 

持ち帰り早速、食してみた。ふんわりとしたビスキュイに大好物の餡子が挟まれている。いわゆるブッセというものだろう。

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和と洋がマッチングした絶妙な味わいを1mmずつかじりながらゆっくりと堪能した。




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