新旧交代&米屋の粋な計らい
今更ながら事務所のPCをWindows7から10へとアップグレードした。使い勝手を考えれば、別に7のままでも良かったのだが、今年の1月にサポートが切れた途端に「お使いのOSでは云々かんぬん…」と表示されることが多くなった。ならばいっそのことアップグレードしちゃえ、と踏み切ったわけだ。
自宅で使用していたWindows8は、無償キャンペーンにあやかってアップグレードしたのだが、既にキャンペーンは2016年に終わっている。そんな昔のことだったのか、と年月の流れの早さには驚くばかりだが、と同時にその時にやっておけば良かったと随分と後悔した。
後悔先に立たず。当たり前だろ。先に立ったら「後」じゃなくて「前」だろが。と刹那に思ったそんなことはどうでもよく、それでも無料で出来ないかと検索してみたところ、なんのこたぁない。未だにMicrosoftから提供されてんじゃん。
というわけで、すかさずダウンロードしてインストール。無事、Windows10にアップグレードされた。
ただ、OSをアップグレードした途端に、今までBluetoothで繋がっていたテンキーに不具合が生じる。繋がったり繋がらなかったりと、随分と我儘になってしまった。いつも伝票計算をする時にはWindowsにプログラミングされている電卓を使いテンキーを弾いていたので、それが急に我儘になり主通りにならなくなるのは不便で仕方がない。
そう、このままでは不便で仕方がないので、店舗で使用している電卓をしばし拝借することにした。しかしながら事務処理を終えると一縷の開放感からかそのことをすっかりと忘れ帰宅してしまった。思い出したのは既に現場が動き出した後だった。とはいえ、そう慌てることでもない。今時、電卓程度ならばスマホで十分に代用となる。「もし必要ならば事務所のデスクの上にある」とLINEで連絡を入れておいた。
後ほど、現場に顔を出すと既に電卓は回収したと報告を受ける。その後、事務所に行くと、デスクの上には電卓に代わり栄養ドリンクと「粗品」と書かれたタオルが置かれていた。
見ると米穀卸売業者の名が書いてある。今年はコロナの影響で営業がままならず、多くの居酒屋が弁当業務にシフトしたが為、米屋の多くが売上を爆上げしたと聞く。うちにしても平常時から見ると10倍強の仕入れ量となった。
「お歳暮までありがとうな。オレがいつも『おいおい、タオルだけかよ』なんて言うからわざわざ気を使ったんだろ?」
すかさず担当者に電話を入れてお礼を言う。
「いえいえ、今年は大変なときでしたから陣中見舞いも兼ねてです」
「ひょっとして、自腹じゃないよね?」
「いや、この時期になるといつも大量に買ってますので気にしないで下さい」
「やっぱり自腹かよ。そこまで気を使わなくてもいいのに」
「いえいえ、いつもお世話になっておりますので」
「幾らくらいしたか後で検索してみよっと」
「それは止めて下さい」
ほんのちょっとした気遣いでも実に嬉しいじゃないか。例えそれが二束三文で買える様なものであっても、ただ担当というだけで、いち会社員が自腹を切ってまで出来ることでは中々ない。
「今までお世話になりました」
と挨拶しようかと思っていたのだが、つい
「来年もよろしく」
と言ってしまった。