次女、美人サラブレッドと「鬼滅の刃」を観に行く
雨上がりの朝、虹が見られたという、SNS での喜びの投稿を見てムッとしたことはありますか?僕はあります。
愛車「黒子」ちゃんの足回りをスタッドレスに交換し、朝イチでGSへ向かい空気圧を点検した。天気予報は曇のち晴れ。ここのところ愛でてやる機会があまり無かったので、事はついでと洗車もしてあげた。そしてその後のことについては冒頭の通りだ。
今年に入り洗車時の降水確率100%継続中。昨日が年内最後の洗車になるかも知れないことから、ひょっとしたら大記録を達成してしまったかも知れない。金返せ。
次女が友達と、とうとう「鬼滅の刃」を観に行くという。
「友達、すっごい可愛いんやよ。写真見せたろか?」
と、「うん」とも言ってないのにスマホを突きつけた。確かに可愛い。一緒に写っているお姉ちゃんもめちゃくちゃ可愛い。
「お母さんもめちゃくちゃ美人なんやよ」
「見せて!今すぐ見せて!」
と見せてもらったお母さんは、この世のものとは思えない程の美人だった。
「お父さんも見る?」
他人のプライバシーが収められている娘のスマホってのも「なんだかな~」だが、一応見せてくれとお願いした。
「めっちゃ、かっけーやんけっ!」
身近でこれ程の美男子を見たことがないっつーくらいイイ男だった。そりゃ、娘も美人になるわなぁ。もう、一家まるごと芸能界に投じたいくらい。
「席の予約しておかなくてもいいの?」
「どうやってすんの?」
ということで、予めネットで席予約をしておいてやった。
「ふたり分の予約しておいたから」
「えっ?お金は?」
「カードで前払いだよ」
因みに中学生のチケット料金はひとり1,000円だ。
「あ、じゃぁ友達には現金で貰えばいいよね」
「うん、貰っておいて」
そして1時半の待ち合わせに間に合う様、最寄りのショッピングモールにあるTOHOシネマズまで送らされた。後は5時に迎えに来いという。ただの送り迎えだけではあまりに寂しいので、モール内の「サンマルクカフェ」で長女とふたり、パフェをつついてから一旦帰宅する。
その夜。
「映画はどうだった?」
「うん、面白かった。泣くぞ泣くぞ、って思ってたら本当に泣いてまった」
「なんじゃそれ(笑)あ、ところで1,000円は?」
「うん、貰っておいたよ」
「じゃ、返して」
「大丈夫。貰っておいたから」
「だから返せっつーの」
と手のひらを出すと、
「だって『貰っておいて』って言ったからちゃんと私が貰っておいた。だから私のもの」
「どーゆー解釈や」
女性はがめついくらいが丁度良いとも言われるが、既に片鱗を見せ始めている。
「わかった。じゃ、それがクリスマスプレゼントな」
「いや!いや!こんなんじゃ、いや!返す返す、返します!」
頑として受け取りを拒否したのだった。