産みの苦しみ
右大腿部が「妊娠したんちゃうか?」っちゅーくらい腫れてしまった。先日の事故による怪我が原因だ。オマケに痛い。普通の腫れ方とは違う。太もも全体が満遍なく腫れているのならばタダのデブだが、一部分だけがこんもりと盛り上がっている。故に妊婦扱いとさせていただいた。
ふと、以前うちにいたスタッフが風俗へ行った時の話を思い出してしまった。呼び込みに、
「お兄さん、どう、寄ってかない?」と声を掛けられた。
「いい娘、いる?」
「いるいる、まだ19歳。オマケにボインちゃん」
「じゃ、寄ってくわ」
巨乳好きが災いした。案内されてやってきたのは確かに若くはあるが、いわゆる百貫デブだったらしい。その後、呼び込み相手に
「デブと巨乳を履き違えるな!」
と立ち回りを演じたと。今から約20年前になる。実に良い時代だった。良かったのか?
で、話が全く逸れてしまったが、とにかく痛い。ロードレーサーですっ転び同じく太ももを打撲し、同じ症状を経験したという飲食を営む女社長に相談したところ、その時は患部にメスを入れ穴を開け、日数を費やし少しずつ少しずつ歯磨き粉の様に絞り出したという。その痛みたるや筆舌に尽くしがたしとも。どMが聞いたら垂涎の治療方法だ。
整形外科には次週の月曜日に予約をしてあったのだが、フライングして飛び込みで診てもらうことにした。
軽く1時間程度は待たされただろうか。やっと名前を呼ばれた。
「どうされました?」
「パンパンに腫れてしまってオマケに痛いんです」
「ちょっと見せてください」
喜び勇んでズボンを下げパンツに手を掛けると
「あ、パンツはそのままでけっこうです」
と制せられてしまった。別に脱ごうとしたわけではない。捲し上げ様としただけだ。がっかりさせてすまぬ。
「じゃ、エコーで見てみましょうね」
と機械をあてがう。やっぱ、妊婦や。妊婦と一緒や!羊水が溜まってますね、なんて言われたらどうしよう。ワクワク。
「まぁ、血液とか体液?そういったもんがかなり溜まってますね」
「どうしたらこんなことになるのでしょう?」
「打撲した時にいわゆる肉離れを起こして、その隙間に血液が溜まるんですね。抜けるかな、これ。ちょっと注射針刺して抜いてみましょうか」
「はい、お願いします」
ということで注射器による施術をお願いしたのだが、
「おぉ、抜けるわ。それもおもしろい様に抜ける」
と先生の卑猥な呟きを耳にしながらも、見事に抜いてもらい無事に出産を終え痛みもかなり軽減した。
「こぉ~んなに抜けたよ」
と注射器にして3本分。量にして約200ccほどの抜いた血液を見せてもらった。
さて、今日は今日とて膝のご機嫌伺いとMRI撮影に行ってくる。快癒までは思いの外、長く掛かりそうだ。