元祖流しそうめん@「釜ヶ滝 滝茶屋」には地獄の責めがある
長い間、生きてりゃ誰にでも水に流したいことの一つや二つはあるだろう。そこで僕はそうめんを流して来ました。
岐阜に居をかまえるならば二人に一人、いや三人に一人、う~ん、四人に一人でどうだ!まぁ、それくらいの人数は耳にしたことがあるだろう。元祖流しそうめんをうたう「釜ヶ滝 滝茶屋」だ。
県内には他にも元祖をうたうところがあるが、そもそも岐阜県が発祥の地なのかどうかも怪しい。
えっ?誰と行ったかって?そんなの一人に決まってるじゃありませんか、あーた。誰にでも一度や二度はセンチメンタルジャーニーに浸りたい時あるでしょ?だって伊代はまだ16だから。実際は55歳らしいけど。
「お一人ですか?食べてかれますか?」
「あ、ちょっと運動してきます」
ネーミングに滝が付くだけあって、近場には滝が4つほど存在する。最高位に位置するものは「一の滝」と呼ばれ、麓に行くに従って「二の滝」「三の滝」「行者の滝」とネーミングが変化していく。「一の滝」までは凡そ15分ほどかけて山を登らねばならない。
「三の滝」
「二の滝」
「一の滝」
ほら、ランニングで肉離れを起こしたばかりでしょ。この程度の登山ならば多分、大丈夫だと高を括り登ってみたが案の定、大丈夫だった。カウンターがないから数値はわからないが、恐らく2~3000のマイナスイオンが飛び交っていたことだろう。多少の汗は覚悟していたが、そのお陰で涼しさ数千倍だった。凍るがな。
「胡瓜一夜漬けサービスしとくでね」
愛想のよいおじさん?若しくはおじいさんが気風よく漬物をふるまってくれた。
因みに流しそうめんは食べ放題で800円。コロナ対策として名前と電話番号、住所を聞かれることは覚悟しておいてくれ。
席についてそうめんが流れてくるのを今か今かと待ち構えていると、先ほどのおじいさんがやってきて、
「ごめんごめん。胡瓜代もらうのわすれとった。100円だけちょうだい」
って、サービスゆーたやんけ!まぁ、いい。気風返しで潔く100円を追加で払っておいた。新種の詐欺か?
暫くすると今度は女将さんと思しき女性が手に生姜のボトルを持ちやってきた。
「ひょっとして生姜なかったんじゃない?」
「はい、わさびしかありませんでした」
「も~、ホントあの人は…」
どうやらあの人とは先ほどのおじいさんの事らしい。これがホントの「しょうがない」などと抱腹絶倒のギャグを呟きながら皿の上に乗せてくれました。
「一人前でだいたい400gあるでね。まだ食べられるね。また流すね」
とこっちはもうお腹いっぱいだから「いらん」ちゅうとんのにまだまだどんどんそうめんが流れてくる。
そうめんつゆはすっかり薄味、というか味がなくなってしまったが、無理して詰め込めるだけ詰め込むもさすがに根を上げた。それでもまだ素麺は流れてくる。
「すみません。ご馳走様でした」
と蛙の様なお腹を揺さぶりながら帰途についた。前日の床屋といい、仕事に精を出す為には強制的にでもリフレッシュに努めることにした。リフレッシュ疲れとならないことを自らに祈る。