氷の上のさかな

氷の上にディスプレイされたさかなの様にセカンドライフをキラキラとさせる為に今を頑張ろうといったシュールなお話。

ツンデレパン教室 あんこ諸記・番外編2

この際、誤字脱字、多少文脈がおかしかろうがどうでもいい。やはり自分はまだ娘に愛されている。

帰宅し荷物を置き、机の上をふと見ると、いつもならば閉じられているMacが開いていた。画面には文字が浮かんでいる、と思いきや、なにやら文字が書かれている紙が几帳面にも画面の大きさに沿ってピッタリと貼られていた。

「またなんのイタズラだよ」
と呟きつつ読んでみると、なんの事はない、10月に予定されているパン教室の事だ。

 

「自立記念日」と称し、生徒が自分でおにぎりを作ってきて学級の仲間tと一緒に食べるという企画が先週の土曜日に行われた。その土曜日出席の代替日として再来週の月曜日が休校となるわけだ。それならば暇を持て余している娘をも受け入れてあげようと言ってくださったのでありがたくお言葉に甘えさせて頂くことにした。

読み進めるうちに、ここ数十年に渡り言われたこともない文言が目に入った。
「あいしています」

ここ最近、反抗期のそぶりが顕著に現れ始め、自分だけでなく嫁もその動向にカッカカッカとさせられることが多々あった。言葉遣いの荒さは致し方ない。此の親にしてこの子ありを自らが戒めるべきだ、嫁が。ただ、思春期ならば如何にもオーソドックスな出来事と捉えてはいるものの、やはり手塩をかけて育てた我が子に、せめて言葉だけでも優しくかけて欲しいというのは真っ当な親心というものなのだ。ここに来て「キターッ!」と織田裕二ばりに叫んでみたくなる気持ちは年頃の娘を持つ者にとっては脊髄反射がごとく理解できるであろう。

「お手紙読んだ?」
長女がスタスタと前触れもなく部屋へと入って来た。おいで、とばかりにハグの姿勢を整え迎え入れる準備は万端。
「うん、読んだよ」
「ふぅ〜ん」
と、言葉を返すや否や、Macに貼り付けてあった手紙を無造作に剥ぎ取りその手に持ったまま何も言わずに行ってしまった。

「なんだ、ツンデレだったのか」
親子の絆は言葉では語り尽くせない。

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あいしています

 

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