氷の上のさかな

氷の上にディスプレイされたさかなの様にセカンドライフをキラキラとさせる為に今を頑張ろうといったシュールなお話。

嫁の実家はパラダイス@からの「はやし」もまたパラダイスだった

お盆期間も含めてこの1週間ほど嫁の実家にお世話になっていた娘たち、

「もう、このままここに永住したい」

が、しかし

「そういうわけにもいかないので迎えに来て」

と連絡があった。お盆明けに再び部活動が始まることを億劫ながら承知している様子だ。

 

迎えに行くと、

「ご苦労さま。悪かったねぇ、わざわざ」

いえいえ、お世話になったのは此方ですから。

「コーヒーでいい?お茶なら冷えたの直ぐ出せるけど」

どうぞ、おかまいなく。

「まぁ、マッサージチェアにでも座ってゆっくりしてきゃ」

ダメです。腰に根が生えちゃう。

「あれやったらお昼ごはん、用意するに食べてきゃぁ」

大丈夫です。この後、食べに行きますから。

 

義母が気を使う度にとなりで義父が「そうやそうや、そうしてけ」と煽りを掛ける。もうね、こんなところに一緒に住もうものなら、確実にダメ人間になってしまうことがわかりきっている。そりゃ、娘たちが永住したいという筈だ。その挙句の果てが彼らの娘だというわけだ。後ろ髪をひかれる思いで丁重にお礼を述べ早々に失礼した。

 

「おじいちゃん、おばあちゃんって本当にいい人やね」

「そうやな。あの二人が嫌な人だったらお父さんはお前らとも一緒に住んでないかも知れないぞ」

「どゆこと?」

「ははは、なんでもない」

 

「ところで黙っとったら連れて来られたけれど、ここはなに?」

「見てわかるだろ。ご飯を食べるところじゃないか」

「おい、まったきったねぇところかよ」

 

全く失礼な奴だ。今回、訪ねたのはまだ見ぬ強豪、「はやし」だ。

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嫁の実家の比較的近くにある。予てより存在そのものは認知していたのだが、如何せん、ここには駐車場がない。よって立ち寄ることを躊躇していたのだが、超法規的手段により車をなんとかして念願の初入店を飾ることとなった。

 

もう、多くは語らない。メニューがすべてを表現しているといって過言はなかろう。

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恐らく店主であろう、赤毛の老婦人が勢いよく元気よく、張りのある声を女性スタッフに掛けながらテキパキと目の前の料理をこなしている。

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テーブルに置かれた、思わず矢沢永吉の「時間よとまれ」を口ずさみそうになる汗をかいた緑茶のペットボトルも今迄になく斬新だ。

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娘たちはいつもながら『中華そば』を注文し、自分はといえば暑気払いにもなろうかと『味噌煮込みうどん玉子入り』を注文。

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youtu.be


ネーミングだけを聞いても高いクオリティであるにも関わらず、価格が430円とは思わず笑ってしまう。『中華そば』に至っては「スガキヤ」よりも安い300円だ。安過ぎる客では申し訳ないので『お好み焼き肉入り』270円を追加した。

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こういった店は味も価格相応と思われがちだが、その期待を大いに裏切る結果はいつもの話の流れから想像に易いだろう。回りくどいが実に美味かった。

 

あとから来た初老の男性が、カウンターに座るなり「いつもの」と注文していた。

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つまりはこういった常連客に支えられている店なんだろうな。何が出てくるのか期待して見ていたら登場したのは『冷やし中華』だった。真冬でも『冷やし中華』が食べられるのだろうか?甚だ疑問に思ったがまぁいい。

 

「いつもの」でひとつ思い出したが、常連ぶって横柄な態度で使うことは絶対に止めたほうがいい。かつて中年の男性がアルバイトに「おい、いつもの」と注文したものの、入ったばかりで事情を知らぬアルバイトに激怒した事件を受け、その後、その男性はアルバイト連中から「あの、アイスクリームじじい」とニックネームで呼ばれていた。

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