氷の上のさかな

氷の上にディスプレイされたさかなの様にセカンドライフをキラキラとさせる為に今を頑張ろうといったシュールなお話。

人生ゲーム

「お父さん、人生ゲームやろ」

と姉妹に誘われた。

 

「えっ?そんなんあるの?」

「あるよ」

「じゃ、やろか」

 

まだテレビゲームが無かった時代、一世を風靡した一種のすごろくゲームだ。その名を聞くだけで郷愁の念に駆られる者も多くいるのではなかろうか。自分もそのひとりだ。土曜日に半ドンで授業が終わると直さま帰宅し、吉本新喜劇を見ながら昼食を済ませるとクラスメイトの大野けんちゃんの自宅に皆で集まり楽しんだ思い出がある。その頃の人生ゲームが何代目だったかは知らないが、自宅にあるものには「平成版Ⅲ」と書かれてある。

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ということはⅠもⅡもあるってことだろう。長い間、日本人に愛されているゲームなんだね。

 

因みに英語版も「The Game of Life」としてシリーズ化されている様だ。日本人のみならずアメリカ人にも愛されているのかも知れない。フランス語やスペイン語バージョンなんかもあったりして。

 

子どもが生まれる度に他のプレイヤーから祝い金を貰えるシステムは昔ながらだ。ただ、その他のルールをほとんど覚えていない。そこに新ルールも加わり複雑極まる内容となっている。何十年前では考えられなかった「燃えるゴミ」「不燃物」などのゴミ問題もゲームに加わり、ゴミ箱型のアイテムまで用意されていた。一番の難関は、盤面に書いてある字が細かすぎて読めないことだ。仕方がないので娘たちに読んでもらいながらコマをすすめる。

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「1千万円出してルーレットを回し、5か6が出たら政治家になれるって」

手元には800万円しかない。但し借金が出来るので、銀行から1千万円を借りた。返す時は利息を100万円付けて返さねばならないらしい。闇金並みにぼったくる銀行だ。選挙に出馬するとしても1千万円の供託金は高すぎるだろう。まぁ、そこがゲームの醍醐味というところだ。つまり5か6が出たら当選。それ以外の数字だったら没収される。当選したとて没収されるんだけど。

 

晴れて政治家になった自分は稼ぎに稼ぎまくってダントツトップでゴールを決めた。

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一方、支払いが滞った次女はその都度、銀行から借金を繰り返し、5500万円の負債を重ねるに至った。なにか現世の縮図がゲーム盤上で繰り広げられたかの様に見える。

 

「ところで何故、うちに人生ゲームがあるんだろ?」

「お父さんが知らんって言うならお母さんじゃない?」

 

台所で話を聞いていた嫁から

「わたしも知らんよ」

と返ってきた。

 

車はマニュアルでもマニュアルゲームを好みとしない坊主の持ち物とも考え難い。人生ゲームが少々ミステリアスに展開することとなった。ま、きっとどちらか一方が記憶を無くしているだけかと思うんだけどね。

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