氷の上のさかな

氷の上にディスプレイされたさかなの様にセカンドライフをキラキラとさせる為に今を頑張ろうといったシュールなお話。

あまり横柄だと「そ~はら(えんがちょ)」って言うよ

「うちの酒が扱いたいのならば挨拶に来るのが筋だろ」

と酒蔵の主に言われたので、片道20km、時間にして50分ほどかかる隣市の各務原(かかみがはら)は蘇原(そはら)という場所にある酒蔵へ挨拶に行った。余談だが各務原市民に聞いた話によると、この「蘇原」という地名は「えんがちょ」の代わりとして使用されることがあるらしい。理由は各務原の中でもあまりにも辺鄙な場所にあるからだと。そのあまりにも辺鄙な場所に呼び出されて行ってきたわけだ。

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明治27年創業と歴史のある蔵だ。店舗兼主屋、通用門、離れ、土蔵、酒造門及び塀が登録有形文化財に指定されている。

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そして先代は勲章まで授与されている。あくまでも先代だが。


応接室らしき所に案内される。

「今、来ますからもう少々お待ち下さい」

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約30分後に蔵主がふんぞり返って登場。いや、体型がそのように見えただけかも知れない。

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「やぁ、待たせたね」

「とんでもない。今日はお時間をお作り頂きありがとうございます」

「で?要件はなんだった?」

あれ?筋を通して挨拶に来たんだけど。

「いや、御社の日本酒を扱わせて頂きたいと思いまして」

「あぁ、あぁ、そうだったね」

「はい」

「じゃ、ひとつ答えて頂こう。いいかい?」

「はい」

「一反の田んぼから収穫される米の量はわかるかい?」

「え、いや、何俵だろ。すみません、わかりません」

「そんな事もわからずにうちの酒を扱いたいなんて言ったの?いいかい、一反から収穫できる米の量は約9俵だよ。これを機会に覚えておきなさい」

「はい、わかりました」


その後、新しく増設した蔵の中を見学させてもらう。なんでも一昨年だったかの台風により蔵の屋根が吹っ飛び、それが原因で今までの蔵が使えなくなってしまったのだとか。

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「あ、ひとこと言い忘れたが、うちの酒を使うのならば、岐阜の他の酒を使っちゃダメだよ。たとえば三◯盛とか」

「はい、それは重々承知しております」

「じゃ、また。酒屋には今日のことを伝えておくから」

「はい、よろしくお願いします」


商売を始める前に色々と根回しをせねばならないのは実に面倒だが、それも成功への近道と考えたら仕方のないことだよね。

 

 

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