氷の上のさかな

氷の上にディスプレイされたさかなの様にセカンドライフをキラキラとさせる為に今を頑張ろうといったシュールなお話。

よき友は物くるゝ友。友、「ぼたもち」持ちて登場。

魚の水洗いをしていたら、お尻のポケットに入れてあるiPhoneがけたたましく鳴り出した。因みに映画「アドレナリン」でジェイソン・ステイサム演じる主人公、シェヴ・チェリオスが着信音にしているのと一緒のものだ。わからない人の為に一応、貼っておいてやる。

youtu.be

 

誰だよ、このくっそ忙しい時に掛けてきやがるのは。あ、因みの因みに水洗いをしていたのはその日の目玉商品、長崎産の活け〆天然クエ5.1kgです。美味しいよ~

 

とさり気なく宣伝も混ぜまして、血塗られた手を念入りに洗いタオルできれいに拭き取るまで約10秒。そしてお尻から携帯を取り画面を見ると、そこには「おやつ爺い」と表示されていた。

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くどい様だが説明しよう。「おやつ爺い」とはおやつを愛しおやつと共に生きおやつと共に死ぬと公言する、3時のおやつをFacebookに投稿することを唯一の生き甲斐としている自分以外の友だちが一人もいない小中学校の同級生だ。

 

然しながら「もしもし、もしもし」と何度応答しようとも一向に声が聞こえてこない。どうやら発信者に衰えが生じると電波環境までもが敏感に反応するみたいだね。声が聞こえてこないのならば仕方がない。一度、プツッと此方から切ってやった。すると性懲りもなく1分後にまた掛かってきやがった。此度は「あうあう」言っている様に聞こえはするが、なんとか聞き取ることが出来た。

 

「店にいる」

「いるよ」

「じゃ、お土産持っていくよ」

「おぉ~、いつも悪いね」

 

徒然草にもあるじゃないの。「よき友、三つあり。一つには、物くるゝ友。二つには医師。三つには、知恵ある友」と。正直、後の2つはどーでもいい。肝心なのは最初の「物くるゝ友」だけです。というわけで、瞬時に彼はよき友に早変わりした。因みに「友とするに悪しき者」の四つ目に「酒を好む人」とあった。自分のことはまあいい。

 

「ほら、ぼたもち好きだろ?」

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好きも何も大好物だ。耳元で「あんこ♡」と囁かれるだけで身も心も溶け始め挙句の果ては籠絡され身ぐるみ剥がされても気が付かないほどのあんこ好きだ。あんこ好きが高じて娘の名前を「あん子」にしてしまったことはもはや周知の事実となっていよう。

 

お言葉に甘えて頂いておいた。もちろんタダで。ごめんね、なにもお返し出来なくて。「酒を好む」悪しき友なので許してね。

 

さっそくおやつタイムに美味しく頂きました。お買い求め先は「口福堂」だって。本当はいちご大福にしようかとも思ったけれど、高かったからやめたって言ってたね。いいんだよ、そこまで気を使ってくれなくても。たまの土産よりも恒久的にくれた方が嬉しいってもんよ。今後とも宜しく。

 

…はいいけど、さすがに仕事前の三個一気食いは胃に堪えたね。

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ぼたもちは胃の容量用法を正しく守ってお食べ下さい。ピンポーン♪

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