氷の上のさかな

氷の上にディスプレイされたさかなの様にセカンドライフをキラキラとさせる為に今を頑張ろうといったシュールなお話。

要らんなんて言ってないだろ

「これ、あげる」

「なんだそれ?」

朝の仕入れから一旦帰宅。食卓に伝票を広げトータルの仕入額を計算していると、目の前にポイッと小袋が投じられた。

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投げるなよ。


「要らんかったらいいゎ」

「要らんなんて言ってないだろ」

何故にそこまでせっかちなんだ?見ると「京都宇治抹茶大福(4個入り)」と書いてある。


おおっ!なんと森田治秀監修のオリジナル京都府宇治抹茶、それも熟成抹茶ではないか!って、誰だよそれ。聞いたこともなければ見たこともない。ましてや舐めたことなど毛頭ないし最近はリアルに毛頭がヤバい。


さては…。

さっそく賞味期限を見てみる。

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21.07.19とあった。ギリ賞味期限内だった。あ、因みに一昨日の朝の話ね。どういった風の吹き回しだ?「これ、あげる」と言われて賞味期限内の物など今の今までなかったことだぞ。背中に一筋、冷たい汗がたらりと流れ落ちる。


「今日は土用の入りだから餡子を食べるといいらしいよ」

土用の入り?なんだそれ。そんな言葉があるのか?

「ああ、そうだな」

取り敢えず知ったかぶりをしておいて、慌ててググってみた。すると「土用餅」という言葉が浮上する。


何やら土用の入りにはあんころ餅を食べると良いらしい。「小豆の赤には魔除け、餅には力持ちの意味がある」とそこにはあった。なんか自分が知らなかったことを嫁が知っているのがなんだか悔しい。ただ、これはあんころ餅ではなく大福餅だ。正統派ではない。


「本当は大福じゃなくてあんころ餅だけどな」

たった今、仕入れたネタをさも昔から知っていたかの様にひけらかす。


「で、なに?そんなもん餡子が中にあるか外にあるかの違いだけでお腹の中に入れたらみんな一緒やん」

「いや、ビジュアルが違うだろ。こう、なんていうか、やっぱりお菓子とか料理とかってのは見た目が味を決めるっていうか…」

「だから要らんかったら食わんでもいいって」

「要らんなんて言ってないだろ」


というわけで無病息災を祈り頂きました。うん、甘くて美味しい。

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甘いのは当たり前か。抹茶の風味が上品で如何にも京都って感じがするね。京都って感じを説明しろと言われても絶対に無理だけど。惜しむらくはこし餡だったことだが、これ以上、波風を立たせない様にそこだけは黙っておいた。

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