氷の上のさかな

氷の上にディスプレイされたさかなの様にセカンドライフをキラキラとさせる為に今を頑張ろうといったシュールなお話。

いや、食べたかったんじゃなくて見たかっただけだから、の「雪めくティラミス」

口にさえしなければ、そのうち忘れ去られ蔑ろにされるだろうと期待しつつ目論んでいたのだが、そうは問屋が卸さなかった。

 

「お年玉下さい。図々しいけどお願いします」

こちらが忘れてももらう側が忘れるわけないよね。以上、次女からのLINEだ。ご丁寧に

「あづちゃんお金がほしい いくらあってもたりないの」

と書かれたスタンプが添えられている。

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お年玉といえば普通は現金だよね。ただ、最近はスマホ決済でなんとかやっていけてるんで現金を持ち歩かないんだよな。この際、PayPay送金でもええんちゃうか?などとズボラなことも考えたが、Wi-Fi専用スマホしか持たない娘なので使い先はコンビニくらいしか無さそうだ。

 

仕方がないのでローソン銀行へと足を運んだ。自分はジャパネットバンカーだが、PayPay銀行に名称変更をしたら口座を引き払うかも知れない。だって恥ずかしいんだもん。因みに月の初めは幾らおろしても手数料が取られることはないが、二度目からは3万円以上をおろさないと手数料が加算される。月初だったので遠慮なく1万円だけをおろす。一部両替ボタンを押すと、全て千円札で出てきた。一部じゃねぇじゃん。まぁいい。

 

店内には落ち着いた女性の声でCMが流れていた。

「・・・ティラミス。税込270円」

 

ふぅ~ん、新商品か。どんなだろ?見るだけ見てみたい、とスイーツコーナーへと足を運ぶ。ところがウチカフェのコーナーを隈なく探すもそれらしきスイーツは見当たらない。

 

「すみません。今、店内CMで流れていたなんとかティラミスってのはどれですか?」

思い切ってすぐ横で品出しをしていた眼鏡の似合う女性スタッフに尋ねてみた。

「あ~、はいはい。少々お待ちください」

とあるべきはずの棚を探すも見つからない。

「どうも売り切れたみたいですね」

「あ、そうですか。それではまた出直します」

 

あくまでも衝動的に見たいという思いに駆られただけなので、正直なければないで何ら問題はない。そもそも見たいというだけで買おうとも思っていなかった。

 

店を出て車に乗り込もうとすると先ほどの眼鏡の女性が追いかけてきた。

「お客様~、ありました!1個だけ見つけました!」

 

えっ?コンビニってここまでするの?万引きしたわけでも無いのにまさかコンビニでスタッフに追いかけられるだなんて想像をしたことも無かった。

「あ、ホントですか?じゃ、頂きます」

再三言うが、本当にただ見たかっただけだ。ただ、こうなると是が非でも買わなくてはいけなくなってしまった。

「見つけられなくてすみませんでした」

とレジにいる当事者でない女性スタッフにも頭を下げられる。

「いや、有って良かったですよ」

再三の再三言うが、本当は無くてもかまわない。

 

要冷蔵とあったので、車の中で早速いただいた。

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タイトルの「雪めく」の意味がよくわからないが、中身はオーソドックスなティラミスだ。

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然しながらかなり高レベル、高次元な味わいだった。ちょっと小洒落た洋菓子店で同じ物を買おうと思ったら、この倍近くの代金を取られることもままあろうかと思う。半ば感動しつつ、ダイエット中の我が意志の薄弱さを嘆くのだった。

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