「珈琲館チロル」@郡上八幡の「モカペアー」
せっかく郡上八幡に来たのだから「ちょっと散策を」と思いつつ街を闊歩するも、あまりにもの人の多さにうんざりしてしまい、小股でチョコチョコと付いてきた長女も自分の真似をして大股で歩いていた次女も「疲れた」と口に出す。橋のたもとにあるスイーツ屋「カフェここち」にも長蛇の列が出来ていた。せっかくお目当てにしていたのだが、その光景にはうんざり。やはり連休中に来るもんじゃないねぇ。
「もう、帰ろうか」
と誰ともなく言葉が出たところで、ぷぅ~んと鼻孔をくすぐる良い香りがした。
「あ~、カレーのいい匂い」
確かにカレーの香りがする。ただ、ついさっき「カツカレー」を食べたばかりだ。ひょっとしたら自分の身についた匂いではないかと衣服をクンクンして確かめるも、カレーはカレーでも加齢の臭いしか確かめることが出来なかった。ごめんね、ベッタベタのギャグで。
「ここじゃね?」
と次女が指差す先にその店はあった。「珈琲館チロル」だ。
「おっと!いい感じじゃね?」
「言うと思った」
「ほれ、デザートもあるみたいだぞ」
あんみつやパフェの写真が立て看板となって表に掲げられている。
「取り敢えず入ってみよう」
と娘二人をかどわかした。
「いらっしゃいませ。何名様ですか?」
ベリーショートが似合うスレンダーな女性が出迎える。愛想も良さげだ。オマケにに美人と来ている。そして声がいい。瞬時にここは一人で来る店だったと後悔をする。まぁ、今回は仕方がない。
3人でメニューを眺めながら各々が沈思黙考する。
「私は決めた」
いち早く次女が抜け出す。選ばれしは「フルーツクリームみつ豆」だ。自分はといえば「モカペアー」と名乗る何だかよくわからないものにした。謙虚な長女は安い「アイスクリーム」というので、勝手に却下して王道の「チョコレートパフェ」だ。
「はい、少々お待ち下さい」
の言葉を信じること30分。どうやら先客のオーダーが溜まりに溜まり此方にまで手が及ばないらしい。ただ待つことはお得意のO型三人組だ。ここに残りのB型二人が加われば修羅場になる。ま、それは置いといて、追加で15分待ったところで念願のスイーツ3品が満を持してお目見えした。
「フルーツクリームみつ豆」
と「チョコレートパフェ」
は食べてないから評価がかなわぬが、問題の「モカペアー」だ。
ブラックビターなコーヒーゼリーとその上に乗ったアイスクリーム。&全てを覆い隠すように真っ白な生クリームホイップがとぐろを巻いている。そしてコーヒーゼリーを満たすのはチョコレート味のリキッドだ。当店オリジナルの自信作を謳うだけの物はある。
「ごちそうさまでした。やはり連休ともなればお忙しいのでしょうね」
「はい、お陰様で。大変お待たせして申し訳ありませんでした」
「いえいえ、全然平気です。ごちそうさまでした」
ただ、会話を交わしたかっただけで話しかけたのだが、やはり何度聞いても声がいい。
で、ついでに名水百選にも選ばれた岐阜県の史跡「宗祇水」を観に行った。
直ぐ先の清水橋から眺める小駄良川の風景は最高だった。
天然アユの季節到来。紆余曲折の末に…
「やな」と聞けば岐阜在住であればきっとアレしか頭に思い浮かばないだろう。悟朗?六朗?それ「やな」じゃなくて「なや」だ。じゃなくて「やな」。漢字で「梁」と書く。
岐阜は海が無い代わりに川が多いので、県内至る所に「やな」があり初夏から秋にかけ鮎のフルコースが提供される。が、月の売上額はともかくとして、「やな」の本格シーズンは秋。つまりこれからだ。産卵の為に川を下ってきた鮎を「やな」におびき寄せ一網打尽にすることにより天然のアユを無料で手に入れることが出来る。まさに濡手に粟だ。
ただ、それも今の時季だけなので、当然初夏から夏場にかけては養殖のアユ、若しくは昨年売りきれなかった天然のアユを冷凍しておいて使うという方法を取らざるを得ない。だから毎年、この時季を待ってやっと「やな」に行くことにしている。
てなわけで、さっそく昨日行ってみた。所は岐阜県郡上市大和町、「杉ケ瀬ヤナ」が名称だ。
ホームページを見ると「ヤナと言っても観光ヤナでは客に提供される鮎が養殖なのは珍しくありませんが、こちらは鮎が落ちなければ営業しません。したがって出てくるのは天然の鮎のみです」と書かれている。
先ずは清流「長良川」のせせらぎの音で癒やされる。残念ながらこの時に落ち鮎は無かったが、落ちてきたアユを溜め込んでいるのであろう、生簀の中には数十尾の泳ぐ姿が見られた。
さっそく店に顔を出す。
「すみません。3名ですがいけますか?」
「お待ち頂くのであれば。ただ、お席がご用意出来るのは5時過ぎになります」
「へぇ~、5時ね」
今、何時だ?腕時計は午前11時30分を指している。
「また来ま~す!」
そんな時間まで待てすか!晩ごはんを食いに来たんじゃねぇぞ!
というわけで即座に諦め郡上八幡に向かうべくして引き返す。それがね、郡上八幡も郡上八幡で緊急事態宣言を物ともせず人で溢れかえってたのよ。先ず駐車場がどこも満車状態。オマケに飲食店にも長い行列が出来る始末。何とか遠方に空き駐車場を見つけたまでは良いものの途端に昼食難民に陥ってしまった。もう、こうなったらどこでもいい。すんなりと入れる所は何処かにないものか?
ふと目に止まったは「レストラン」の看板文字。
その横にはカタカナで「キッチン」、平仮名で「なお」と書いてある。なんだかわかんないけどここにするぞ!と言う前から呆れ顔の次女だった。そ、そんなに「きったねぇ店」じゃねぇだろ?幸いにして中はガラガラすっからかんだ。
なぜ、ここだけ?考えられることとすれば値付けが観光地価格になっていることか?「カツカレー」1,200円はちょっとばかし高くないかい?
というわけで探究心旺盛な自分は「カツカレー」を注文。
無難を愛する次女は味噌カツとエビフライが付く「Aランチ」を。
長女は自分に追随して同じく「カツカレー」となった。因みに「Aランチ」の方が1,000円と「カツカレー」よりも200円安い。
して味わいや如何に?
うん、美味い。美味いが極めて普通。辛味は全く無いが香辛料の風味はちゃんと利いている。特筆すべきはカツに予めソースが掛かっていることだ。
このソースがフルーティーで甘い。そしてちゃんとバランスが取れカレーにも合う。あと400円安かったら絶賛していたかと思う。
しかしながらシルバーウィークを完全に舐めきってた。これ、冬になったら絶対に第6波が来るよ。なんか確信しちゃったかも。
今や絶滅危惧種のジャズ喫茶を偲ぶ
土曜日のアンニュイな午後をジャズ喫茶でご一緒に過ごしませんか?
土曜日はいたたまれない。家族全員が自宅にいるからだ。何よりも動物占いで「狼」な自分は一匹を好む。逆にいえば一人でいられる時がないと気が狂いそうになるのだ。長年に及ぶ週休一日が身に馴染んでしまっているからにして尚更こういった現象が起こるのだろう。取り敢えず家出する計画を立てよう。
ひょんな事からスキマスイッチのヴォーカルが在京時代に通っていた音楽学校の出身だと知った。先輩・後輩の繋がりは血の繋がりよりも濃い、と言ったのは高校の後輩でもあるうちお抱えの酒屋だが、それが本当ならばスキマも売上の1%くらい、こちらに寄越したところでバチは当たらないと思う。半ば本気だが冗談はさておき、ところであの音楽学校は今頃どうなっているのだろう?とふと気になった。そこで必殺「ググって」みると、なんと!あーた!あろうことか2020年3月31日をもって閉校となっているじゃ内科小児科泌尿外科。こうして過去の記憶がどんどんと白く塗りつぶされて行くんだね。卒業した高校も厳密にいえばその後、他校と合併してしまったので無きに等しい。
因みに師事していたのはトランペッター日野皓正の弟で日本を代表するジャズドラマー日野元彦だったが、それが縁で一度だけ日野皓正と一緒に演奏をさせてもらったことがあった。後の感想、というか彼からの評価は実に辛辣なもので死ぬまで忘れることはないだろう。
「ユー、ユーのドラムはオナニーだよ」
ニューヨーク訛りの巻き舌でそう言うと、
「やってる、やってる?」
と言いながら右手を軽くグーにし上下に動かしてジミー大西の真似をした。
意味がわからず口を開けてボーッとしていると、
「要するにユーは自分さえ気持ちが良ければそれでいいドラムなんだな。ジャズは『愛し合ってるか~い?』だよ。わかる?」
と忌野清志郎で締めくくられた。
そんなこんなで母校が閉校したことを知りアンニュイに一層、歯止めが掛からなくなったところで久しぶりにジャズでも聞きながらコーヒーを飲みたくなった。それも自宅以外で。となればジャズ喫茶だろう、と思った所で探してみたが、岐阜県に於いて純ジャズ喫茶が絶滅してしまった事を知る。あの暗闇でコーヒーを注文する時に声に出さぬよう、唇だけを「コーヒー」と動かす独特のオーダー方法が通用する、つまり読唇術が可能なスタッフも絶滅してしまったに他ならない。
まぁそこまでニッチな分類ではないものの、軽くそれっぽい店でもいいやと記憶をたどったところでかつて一度だけ行ったことがある店を思い出した。いつもの如く行きあたりばったりに出向いてみると、嬉しいことにまだ営業されていた。看板を見ると「since1980」とある。つまり40年も続いているということだ。店名は「Modern Jazz Gallery KAKURENBO」という。
店内には楽器にスピーカー、アンプなども見られライブが出来る環境にもある様だ。
因みにドラムのメーカーは「TAMA」だった。
まぁ、知らん人は全く知らんと思うけど。加えて冷房は水冷式クーラーだった。
道理で店内がキンキンに冷えている。口パクで注文する必要もなく「ホットコーヒー」をお願いすると、サンドイッチとバナナにハッピーターンまで付いてきた。
渋谷で足繁く通った複数のジャズ喫茶も全て無くなってしまったかまるで業態を変えてしまった様だが、懐かしむもこういった気楽さの方が今は性に合っている気がする。十分にくつろぐことが出来た。が、この3連休はプータローのくせに気が重い。
妖怪「おやつ爺い」と共にするスイーツタイム@「HORI KAJITSUKOBO(ホリカジツコウボウ)」岐阜市茜部(あかなべ)
「おやつ」を愛し「おやつ」と共に生き「おやつ」と共に死ぬと豪語する、Facebookにその日の「おやつ」ネタを投稿することを唯一の生き甲斐としている小中学校の同級生でもある通称「おやつ爺い」から、しつこく「おやつ」に付き合えと連絡があったので致し方なく付き合ってやることにした。
その誘い方が「ブータローでどうせヒマをしているだろ」、とか「その心のスキマ時間を埋めてやる」、とか「ネタを提供してやるよ」とか、さも「お前の為を思ってのことだ」と言いたげな内容だったが、決め手になったのは「おごってやる」の一言だった。おごってくれる友は良い友だち。
そこで足のない彼をわざわざ自宅にまで迎えに行ってやった。自宅からは約6kmの距離にある。目的地はそこから更に6km先の岐阜市茜部(あかなべ)という場所にある「HORI KAJITSUKOBO(ホリカジツコウボウ)」だ。
すぐ隣にある「フルーツHORI」という果物専門店が、スイーツ専門店として2019年6月に開業した。ということらしい。スタッフが快く質問に応じてくれた。
さて、58のおっさんに対峙するは同じく58のおっさんだ。ひとつのテーブルに58のおっさん同士が向かい合い、注文したスイーツが運ばれてくるのを今か今かと待ちわびる光景は、傍から見ても客観的に見ても実に気持ちが悪い構図だったろう。予想通り年齢幅は広いものの店内はスタッフも合わせ女性しかいなかった。
が、そんなことくらいで動じるおやつ爺い「達」ではない。いつの間にやら自分も仲間入り。
どうせおごりだ。遠慮なく一番、値段の高いメニューを注文しようかと思ったのだが、ここは一歩引いて100円だけ安い「メロンまるごと1個パフェ(店内専用)1500円(税別)」にしておいた。そして爺いが注文したのは「シャインマスカットと季節の果物のフルーツパフェ1600円(税別)」だ。
そしてその2つがとうとうその異様を目の前に表した。異様の使い方あってる?
さすがメロンをまるごと1個使っただけ有って堂々の出で立ちだ。実に食べごたえがありそうじゃないか。
さて、いざスプーンをロープ最上段からフライングアタック気味で入れようとした正にその瞬間、
「ねぇ、そっちとこっち交換しない?」
爺いの口からボソッとこぼれたのはまさかのスイーツ交換依頼だった。相手が相手ならば
「じゃ、シェアして食べようか?」
とも提案出来たのだが、それだけはぜーったいに嫌だ。仕方がない。スポンサーの意向だ。むげに断ることも出来ない。泣く泣く安い方を高い方と交換させられることとなった。
まぁ、美味しかったからいいんだけどね。いや、めちゃくちゃ美味しかった。それに器の底にはちゃんとアイスクリームとシャーベットが敷かれている。間違ってもコーンフレークなどではない。
たったそれだけの事で37ポイントゲットだ。
おっさん二人、長居は無用。滞在時間15分で店を後にする。そんなこんなで迂闊にもFacebookネタを提供してしまうことになってしまったが、どうせならば自らも同調させて頂くことにしよう。なんか親孝行をした気分だった。
めざせ!ドウェイン・ジョンソン@豆乳編
最近、坊主の帰りが遅い。筋トレに目覚め仕事明けにトレジムに寄ってから帰宅するからだ。自分の為に買ったプロテインもHMBサプリも今では坊主の物となってしまっている。HMBサプリがわからない?説明が面倒なのでググれ。
将来はドウェイン・ジョンソンみたいになりたいそうだ。曰く、見た目がデカけりゃ絡まれることもないだろうし、何かに付けて交渉事が有利に働きそうだからだと。確かに煽りに煽った車からドウェイン・ジョンソンが出てきたらそれだけで逃げたくなるに決まっている。だったら先日みたいに髪型など気にせずいっそのこと剃ってしまえばいいじゃないか。
すると、ただのスキンヘッドでは坊さんにしか見られん。頑強な体軀があってこそ見た目で脅威を与えられるのだと。身体がデカくなったらスキンヘッドにすると約束した上で、お使いごとを頼まれた。プロテインは身体をデカくするには有用だと理解するも、安物はやはり美味しくない。そもそも美味しいプロテインを求める時点で考えが甘っちょろいとは思うのだが、奴なりに少しは味覚を緩和しようとキッコーマンの「調製豆乳」で割って飲んでいる。で、その「調製豆乳」が切れたので買ってきて欲しいと。
個人的理由で親を小遣いにするとは見上げた了見じゃねぇか。とはいえヒマだしプータローだし、ここらで家庭内での存在感を示しておかねばと二つ返事で応諾した。
行き先は「ゲンキー」だ。自分もまた朝食用のヨーグルトを切らしていたのでついでにという寸法だ。お目当てのヨーグルトがここ「ゲンキー」では99円で購入することが出来る。「クスリのアオキ」は148円、「西友」だと138円と少々どころかかなりお高い。が、取り敢えずそんなことはどうでもよく、豆乳売り場へと急ぐ。買い物は素早くよそ見をせずが自分の信条だ。
お目当ての豆乳はすんなりと見つかった。
が、豆乳といえば「調製豆乳」と「麦芽コーヒー」くらいしか知らぬ自分だ。棚に並べられた豆乳のラインナップに暫し視界を奪われる。
いや、キッコーマン。醤油ばかりを作っているかと思いきや、思いっきり攻めてるじゃん。豆乳界の「ガリガリ君」か「ペヤング」でにもなりたいのか?
そうか。そうとなればその挑戦、受けて立とうじゃないか。1本78円が3本だと198円になるという。当然、3本を手に取りカゴにインした。
各々の味覚についてはいずれお披露目できる時があればと思うが、個人的には「すいか」に期待したい。
で、店を出てから肝心の「調製豆乳」を買い忘れたことに気がついた。マジで。当然、もう一度入店しお会計を済ませ愛車のカブリエーラで帰宅の途についた。午後も4時を過ぎるとバイクでは肌寒く感じられる様になった。
よい意味で汗まみれな吉日
毎朝、長女を学校にまで送っていくのもそこそこの距離にはなるのだが(往復約3km)、それだけではトレーニングとして心許ない。ならばいっその事、送っていくついでに逝ってしまおうと校門でお見送りを済ませるとそのままランニングに出かけている。雨の日はさすがにその気力も削がれとっとと帰宅するが、そんな時はYou Tubeを見ながらエアロビで汗を流す。侮るなかれ。例え自宅であろうが1時間も向き合えば相当に汗だくになる。オマケにひとりきりだと羞恥心を抱く必要もない。客観的に盆踊りだろうが阿波おどりに見えようがそんな事はどうでもいいのだ。というわけで連日、そこそこハードにワークしている。
たまにはサボタージュも良かろうと、昨日に限りランニングは中止し気ままに母校までのお散歩を楽しんだ。正門が知らぬ間に綺麗に建て替えられ門の正面では新校舎の建設が進んでいた。驚いたことに「ビーチバレー」で国体出場だと。俺たちの時にはそんな部はなかったぞ。卒業して40年も経つと思いもよらぬことが多々生まれるもんだよね。距離にして11kmばかりをテクテクと歩き帰宅した頃にはあんな所もこんな所も汗でダクダクになっていた。
天気予報は終日、晴れ!自宅にいてもやることなし。となれば久しぶりにカブで遠出とまいりますか。ただ目的を持たずして出かけるのもアレなんで、汗かきついでに岩盤浴は如何なものでしょ?てなわけでこれまた久しぶりに岐阜県は本巣市にある「ぬくい温泉」を目指すことにした。「イオンタウン本巣」内にある。距離にして約11km。奇しくもお散歩と同じ距離だ。
汗をかいた上に汗をかく。人間の体ってのはつくづく水分で出来ているんだなと痛感する。前日比で体重が約4kg減少していた。体重計、壊れてね?
コロナ禍とあってか今までに見たことが無いほど客入りが悪かった。
店にとっては不運だろうがお客にとっては安心に繋がる。とはいえ、この様なことが続くと結果、せっかくの憩いの場が消滅しかねない。微力ながらコンスタントに通わせて頂こうかと思う。
場所が「イオンタウン」内なので買い物に不便がないことも嬉しい。スーパーでヤマザキの「メンチバーガー」とキリンのノンアルビールを購入しアウトドアで昼食を楽しんだ。こんな時にバイクのリアボックスがテーブル代わりにもなりめちゃ便利。
日差しは厳しいが軒下だと風も入りそこそこ涼しい。
非常にいけないことに敷地内には「スガキヤ」もあっちゃったりしちゃったりする。引き寄せられる様に店に入ると無意識のうちに「宇治抹茶あんみつ」を頼んでしまっていた。これで一日の消費カロリーが台無しになってしまった気がする。
でも美味かったからよしとする。本当はあかんけどね。
帰宅路は意図せずとも長女の通学路と重なる。すると前方に見慣れた後ろ姿が歩いていた。バイクの音に気が付き後ろを振り返る。
「あれ?いつもより早くない?」
「うん。かな?」
「いや、早いでしょ」
そこからはエンジンを切り自宅までカブを押しながら一緒に帰った。風呂上がりなのにまたしても汗だくとなる。
さすらいのツーブロッカー(ガスター10はH2ブロッカー)
「オレ、どんな髪型が似合うやろ?」
と食卓で坊主が訊いて来た。間髪入れず嫁が答える。あーだこーだとワチャワチャ言って来たが、それには一切耳を傾ける気も気配もない。そして自分の弁を待つ。
「あんた、私がアドバイスしとるのになんで無視するの!」
「あ”?いつも面白がるだけで真剣に応えんで」
恐らく真剣に応えてはいるとは思うのだが、ガーッとかザーッとか話の内容に擬音が多過ぎて理解出来ないのだろう。余程の想像力を有している超能力者でもない限り同感だ。
この夏、小中高と同じ学校だった幼なじみと久しぶりに会ったという。仮にSとしよう。彼は実家を出て会社の寮住まいと聞く。つまりS がお盆に帰省をした時の出来事だ。
「Sさ、なんか似合わんパーマ掛けてオマケに彼女まで出来たらしい」
とその時に聞かされた。
「彼女まで出来たってのならば、お前が見慣れてないだけであながち似合わないパーマでないんじゃね?で、自慢でもされたんか?」
「まぁ、そういう事」
「お前も何か自慢してやったらいいじゃん」
「したよ。なんか残業が多くて月に40時間以上もあるんやって」
自分にとっては40時間など残業のうちにも入らないレベルだがSにとっては辛いことなのだろう。
「でさ、『お前んとこは月に何時間くらい?』って聞かれたんで、『就職してから今の今まで0時間』って自慢しておいた」
ん~~~、「彼女出来た」vs「残業0時間」かぁ~~~。
「それ、お前に彼女がいたら圧倒的にお前の勝ちだとは思うけど、なんかこの勝負、お前が負けた気がする」
そして時を数日隔て髪型の話になった。恐らく先日の話が引き金になったのだろう。
「思い切ってツーブロックにでもして来たらどうや?」
「似合わんと思う」
「似合わんかどうかはやってみんとわからんやろ」
よし、ならばと、
「じゃ、オレがやってくるからそれを見て決めろ」
どうせ目下休業中だ。失敗しても店の再開までに修正が利くだろう。それにプータローとしては身体を張って威厳を保つことくらいしか考えつかない。
言葉に出したら即、行動。行き先はいつもの床屋だ。
「あのね、『マスカレード・ホテル』のキムタクわかる?あれみたいな感じでツーブロックにしてくれる?」
最初に応対してくれた女性スタッフに開口一番、そう伝える。
「あ、はい、わかりますけど…。店長と相談してきます」
なんで相談なんだよ。ストレートに伝えるだけでいいじゃん。店長が他のお客のカットをやっと終え此方へやって来たついでに改めて同じことを伝える。
「あのさ、『マスカレード・ホテル』のキムタク…」
「ツーブロックなら出来ます」
最後まで話を聞けよ。
ただ、あぁした方がよい、こうした方が良いというアドバイスくれたので、それを大人しく聞き比較的ライトなツーブロックで抑えておいた。言われなければそれとわからない程度だが、一応ツーブロックはツーブロックだ。顎髭との一体感を意識し今回はローレベリーにモミアゲだけを刈り上げにしておいたとのこと。
ところが言うに及ばず坊主にも好評で、これならば自分もやってみたいだと。体を張った甲斐があったというものだ。具体的には体ではなく髪型だが。
然しながらキムタクにしてくれと言ったのに、これでは「マスカレード・ホテル」は「マスカレード・ホテル」でも渡部篤郎じゃないか。不本意ながら今回だけは許してやることにしよう。