海も山も死なんけど、久々のトレランはちょっと死んだかも
海は死にますか 山は死にますか 風はどうですか 空もそうですか~♫
そんなん知らんがな。
早朝の気温も20℃を切り、いきなり秋めいてまいりましたここ岐阜市ですが、やっと、というかとうとう、このオレ様の季節が巡ってきた。という事は山でしょ。山といえば山口城でしょ。といことで、つい先日のこと、攻略しようとしたものの、途中から降り出した大雨の為、断念した岐阜県は本巣市にある「山口城址」を攻め落としてまいった。前回も言ったが今回も言おう。あの織部焼で名高い戦国大名「古田織部」が一時期、居を構えていたのがこの山口城だ。
一帯は「文殊の森公園」として本巣市により管理されており、いくつかある登山道も全てが整備され、初心者向けといえるだろう。今回はただ登るだけが目的ではなく、事故による怪我以来初となるトレイルランニングにて挑んだというわけだ。名づけて「リハビリトレラン」と自分だけがそう呼んでいる。つまりは記念すべき第一回目となる。ではまいろう。
先ほども述べた様に初心者向けとはいえ、登山道はほぼ階段。よって太ももの上げ下ろしがスクワットが如く余儀なくされる。よって、慣れない者にとっては草や岩で覆われた登山道より足に乳酸が溜まりやすいかも。とはいえ、あくまでもトレーニングの一環なので、四の五の言わず無心になって登り続けること約35分。やっと山頂についた。
正直、やっとという程、張り合いはなかったけどね(嘘、かなり疲れた。因みに夜は仕事だ)
山頂の説明書きには「権現山」の山頂に城址が築かれた云々と書かれてはいたが、そこから十数メートル先に文殊山と記された札と三角点があった。
もう僕にはなにがなんだかわからない。
それに城址とはいってもただ単に立札が立っていただけで、その面影どころか痕跡もなかった。せめて山頂からパノラマ絶景が見られるかと期待したものの、実際は木々に閉ざされ景色もへったくれもないし。まぁ、あくまでもトレーニングのつもりで登ったわけなんだから文句を言うな、自分に強く言い聞かせる。ところでへったくれってなんだ?
こんな城址もあった。
そうそうに下山すると、麓にある道の駅「織部焼の里 もとす」に前回同様、立ち寄ると、ファストフード店に猫まっしぐら。前回、攻略したのは「富有柿ソフトクリーム」だったので、今回は日替わりフルーツテイストの「オリジナルソフトクリーム」を頼んでみようかと思う。
「今日はなんですか?」
「ブルーベリーです」
正直、ブルーベリーが本巣市の特産品と聞いたことはないが、物は試しとお願いしてみた。恥ずかしながら、生のブルーベリーを食べた事は未だかつて無いのだが、実のみならず皮まで一緒に練りこんであったことにより、生のブルーベリーの食感をも得られた気がした。
前回の「富有柿ソフトクリーム」よりも美味しいかも。価格もこちらの方が50円安かったし。つまるところ大事なのはこんなところだ。
一日一善@「大善」は一ヶ月に一度でいいです
運転中くらいハンドル操作に集中させてくれないかな?と嘆き節が出るほどに助手席から繰り広げられるマシンガントークだったが、午後1時30分を境に後部座席の長女も加わり「腹減ったー!」のシュプレヒコールへと変貌を遂げた。
今まではムーディ勝山よろしく右から左へ受け流しては来たものの、等の本人である自分もまた空腹に耐えかねイライラとしだした頃だ。しかしだ、こんな時に限って行く先々が定休日だったり臨時休業だったりした経験はないだろうか?日曜日の午後がまさしく「こんな時」だった。
「もう、どこでもいいや」
と投げやりになった時に限って店を選り好みしたりする事も往々にしてありおりはべりいまそかりだが、事態は風雲急を告げている。
「一番、最初に目に入ったところに入る」
咄嗟に臨時ルールが設けられた。
「あった、そこ!」と指差す先に見えるはライトロードサイドの派手な看板の店だ。
娘達の雄叫びに、右ウィンカーからのスーパーレイトブレーキング!因みに自分は左足ブレーキを採用している。対抗2車線をまたぎ駐車場へと無事突入した。さぞかし後続車は腹を立てていただろう。ごめんなさいね。それはそうと娘達でも雄叫びと言うのだろうか。
派手は看板に「唐揚げ定食500円」と書かれている。店名は「唐揚げの大善」とある。
よほど唐揚げ推しの店なのだろう。席に着くと躊躇なく「から揚げ定食」を3人前注文した。
店内は至って小奇麗。まだ店としては新しいのか?ただ、メニューを拝見するに内容としてはそんじょそこらの台湾料理店と同じ様なラインナップだ。スタッフのイントネーションにも明らかに北京語の訛りがある、かどうかは北京語にも台湾語にも全く精通していないのでわかりませんです、はい。
出て来た「から揚げ」は一個が3歳児のこぶし大ほどもあろうかという大ぶりな物だった。さて肝心のお味だが、から揚げ評論家の次女曰く「美味しい」と概ね高評価。いつからからあげ評論家になったんだ?まぁいい。自分からも及第点をプレゼンツしてあげよう。特筆すべきはから揚げその物よりも、マヨネーズが食卓に備えられ使い放題だったことだ。
オマケに陶器のポットに入ったキムチは食べ放題。
3人とも完食は成し遂げたものの暫くは胃の腑の膨満感に苦しむこととなる。当然、夕食に支障を来たし嫁の不興を買いまくることとなったのは言うまでもないことは言うまでもない。
やはりそう来たか~
「お父さん、防具買って」
「え、要るの?学校にあるのを借りれば良かったんじゃないの?」
「でもね、結局なんだかんだとみんな買っとるんやて」
「なんだかんだとは?」
「サイズが合わないとか、人が使った奴は嫌だとか。特に女子はね」
「特に女子はか…」
確かに剣道に限ったことではないのかも知れない。原付を買うに当たってヘルメットを入手しようとヤフオクのサイトを検索していたら、元バイカーのスタッフに、
「中古はやめましょうよ。誰が被ったかわからない様なヘルメットなんて気持ち悪いじゃないですか」
と、そう言われてしまった。
「でも、洗浄済みとか書いてあるぞ」
「いや、そういう問題じゃなく」
自分は無神経なのか、彼が神経質過ぎるのかはわからないが、男子でもそう思うということは女子ならば尚更なことなのだろうか。まぁ、女子でも気にしない奴は気にしないとは思うのだが…。
「買ってないの同級生では私ともう一人だけなんやて」
真実はわからぬまでも、レンタルに頼る先輩は一人もいないらしい。ということは、いつかは買わねばならない時が来るのだろうとは思っていたのだが思いの外、それが早く訪れることになった。やっと涼しくなり、いよいよ防具を付けた練習が始まるというのがその理由だ。もはや観念するしか無さそうだ。
「そういえば、先輩の家、直ぐそこのアパートなんやって。で、一緒に帰ってきた」
「部活の先輩?」
「うん、そう」
「へぇ~、女の先輩?」
「ううん、男の先輩」
「なに?マジで?やるな、この。ヒューヒュー!」
「なにがヒューヒューやて。全然、そんなんじゃないし」
「またまた~。ヒューヒュー!」
「ブッサイクやし」
その一言で片付けたらあまりにも先輩が可哀想だろ。
「会話あるの?」
「あるよ。2+9はなぁ~んだ?答えは肉でしたー、とか」
「・・・」
たぶん、優しい先輩なんだろうな。ひょっとしたら小さな子が好きだったりするのかも知れない。で、間違いなく面倒見がよい先輩だと思う。長い目で娘のことを見守ってくれたらと願う。
というわけで防具の為に少々、切り詰めます。飲まないという選択肢はないのかと尋ねられたとしても、死にでもしない限りそれはない。
うふっ♡ 初体験♡
♫あなたに女の子の一番大切な~ものをあげるわ~♫
というわけで、数えること第二回目のコメダで初「シロノワール」を体験してきた、とういうか食べに行ってきた。1/2の確立は「シロノワール」率ではかなり優秀な方かと思うのだがどうだろう?その辺りの診断は世界に数多存在するコメダ先輩、略して「コメ先」に判断を委ねることにしよう。
勿論、この自分がわざわざコメダまで足を運ぶのには大きな理由がある。期間限定で「ミニシロノワール」が半額になるという情報を入手したからだ。入手先をお披露目したいのだが、それがいつ何処で誰の手によりどうやってもたらされた情報なのかを、この私め、すっかりと失念してしまっておりまして、思い出そうにもどうしても思い出せないでやんす。
あ~あ。歳は取りたくないでごんす。
ただし半額にするにはとある条件をクリアせねばならない。ドリンクを注文することだ。正直、店に入ってキャンペーンのポップに書かれてあるのを見て初めて知った。
それまでは何も頼まず正々堂々と「ミニシロノワール」のみを注文しようと考えていたのが、思わぬところで計画の変更を余儀なくされた。
仕方ない。コーヒーでも頼むか。いや、ちょっと待てよ。わざわざコメダまで来たのにコーヒーでは芸がない。コーヒー屋に来ておいてコーヒーを求めず芸を求めるナンセンスは重々承知の上で、敢えて自分が選んだのは、「小豆小町 葵(あおい)」だ。副題に「小豆+コーヒー 程よい苦味と優しい甘さ」とある。写真だと見た目にも美しい。
然しながら明らかにビジュアルのみを追求したドリンクだということが直ぐに判明した。ただのコーヒーにミルクと餡子が沈んでいるだけで、味わいの相乗効果はなんら得られない。それ以前に、実際に運ばれてきたものは写真とは明らかに別物だった。
まぁいい。そんなことは往々にしてありけりだ。
それよりも何よりも「ミニシロノワール」だ。ガムシロップが添えてある。全部掛けてもいいものだろうか?と考えるよりも先に手が言うことを聞かず全てをぶちまけてしまった。どうやら手が早いのは女性と対峙した時だけではないらしい。焦るな、オレ。「ミニシロノワール」はどこにも逃げやしない。
「どうやって食やいいんだ?」
一口で食すには大きすぎる。とはいえ、フォークはあってもナイフが添えられていないということは、フォークをグサッと刺して丸かぶりせよということなのだろうか?そして僕はいつもながら途方に暮れた。結局、面倒だからグサッと刺してあ~んむと大口開けて食べたけどね。
財布の中には小銭しか無かったが、支払いに足りたので珍しくキャッシュで支払うことにした。
帰り間際に「PayPayも使えるの?」と尋ねると、「はい」との答えだったので次回はPayPayで決済することにしよう。次回があればの話だが。
ミシュランの星の味を求めて@下呂温泉「仲佐(なかさ)」
遡ること高校時代の話になるが、定期テストが迫ると必ず一緒にテスト勉強をしようと我が家へやって来る同級生がいた。自宅も近所で何度か同じクラスにもなったことがあった。ある意味、幼馴染といえなくもない。
ある時、土産にとポテトチップ持参でやって来たのだが、教科書と一緒にもうひとつの土産として漫画本を持ってきたことがあった。面白いから読んでみろという。タイトルは「ケンタウロスの伝説」という、とあるバイカーの物語だ。バイク好きの彼に比して、自分は全くバイクに興味が無かったが頂けるものならばと取り敢えず頂いておいた。
自分との勉強の甲斐あって?自分よりもわずかばかり出来の良かった彼だったが、みごと地元の国立大学に受かり、高校を卒業するとさっそく免許を取得し念願のバイクを手に入れた。しかし、その後、自らの過失でバイクによる事故をおこし、わずか19年でその生涯を閉じてしまうことになる。
その彼に貰った「ケンタウロスの伝説」だが、内容は概ねドキュメンタリーで、モデルになった実在の人物が実際にいるということだった。その彼が仲間たちと一緒に横浜から神戸にある喫茶店までコーヒーを飲みに行くためだけに日帰りの高速ツーリングをする通称「600マイル・ブレンド」という話がある。主人公もそれに加わるが、到底ついていけなかったという内容だったかと思う。
そこでだ、600マイルには及ばぬまでも、ブレンドならぬ「蕎麦」を食べに行くだけの目的で日帰りツーリングをしてもいいじゃないかと、ふと思い立ったわけだ。行き先は下呂温泉で名高い下呂市。市のマスコットキャラクターは「げろぐるくん」で下呂警察署のそれは「ゲロッピィ」。いずれもカエルがモチーフだ。そして観光大使を務めるのは青空球児だ(嘘)
そんな猫も杓子も「ゲロゲロ」鳴いている下呂市だが、偉そうにミシュランガイドの一つ星を獲得した蕎麦屋がある。「仲佐(なかさ)」だ。この度はその蕎麦屋を目指し、国道41号を時速300kmで北上した。
11時30分の開店時刻に合わせて向かったものの、11時過ぎと思いの外、早めに着いてしまったのだが、既に開店を今か今かと待ちわびる客もおり、逆に早く着いて良かったのかも知れない、じゃなくて確実に良かった。
グルメ評論家ではないので、論評は避けたいが、いわゆるお上品系の蕎麦屋かと感じた。その気になれば一口で食べてしまえる程の量だったが、鼻に抜ける蕎麦の香りにその歯ごたえや味わいは星を貰うだけあってさすがの拘りが感じられた。薬味がワサビではなく辛味大根というのも乙なものだ。
さて、帰るか。
と思ったのだが、何故か車にはタオルもあったし、なんと!偶然にも駐車場の横に「足湯」なんて洒落たものがあるじゃあーりませんか!ここはちょっと寄り道ならぬ寄り湯しとかなあかんでしょ。ということで、不本意ながら足湯に10分くらい浸かり下呂温泉での旅情気分を満喫したのだった。
あ、そうそう。ついでに「ゆあみ屋」で食べたソフトクリームに温泉たまごがトッピングされた『温玉ソフト』も美味しかったな~♫
メニューにあった『ほんわかプリン』も気になるし。またゆっくり来てみよっと。では、さようなら。
おまけ。
かつて下呂温泉にあったストリップ劇場。
太ったおば、もといマダムの攻勢にもめげない店主@手作りパンカフェ「なゆた」
「なゆた」
恐らくは数を表す仏教用語「那由他」のことだろうが、その意味は「極めて大きな数量」ということらしい。ではそれよりも更に上の単位である「不可思議」や「無量大数」はどうなるの?
「不可思議」は極めて大きな数量よりも大きな数量であり、「無量大数」は極めて大きな数量よりも大きな数量よりも大きな数量、となるのか?残念ながらそうはならないらしい。一説によれば、数としての概念は「那由他」が最高峰で、よってそれ以上の単位は人知が及ばぬ「不可思議」なもので、「量が無いほどに大きな数」ということらしい。わかった様なわからぬ様な…。
で、お久しぶりです。ご近所探訪のコーナーです。ねぇよ、そんなコーナー。ということで、今回が記念すべき最初で最後の第一回となること請け合いの触れ合いパン祭りのコーナーです。
人知れずひっそりと、小さなパン屋が営まれているという情報をある特殊機関から入手した。名は「なゆた」という。それも子ども達が通う学校の校区にあるらしい。さっそく、その情報を元に訪ねてみることにした。今回の移動手段は車だ。
「目印はないが神社を超えて左」
と言われるがまま左折したその道は、先々に草木がうっそうと茂る車のすれ違いができぬ程の細い道だった。
「本当にこんな所にパン屋があるのかよ」
と大勢いたならば誰もが疑う中、恐る恐る徐行しながら走り続けること数十秒、なんと!左手側にそれらしき店構えを発見。
さっそく車を止め訪問してみた。
戸を開ける。
「あの、もうよろしいですか?」
時刻は午前11時15分。戸の向こうには女性がひとり、例えるならば眼鏡をかけた野比のび太の様な女性だ。。こちらに気がつき慌ててマスクを装着していた。
自分が訪れると立て続けにひとりの太ったおば、もといマダムがバタバタと店に入ってきた。
「おぉ~くさん、すぐそこ!救急車が止まっとったよ!何があったんかね」
自分の問いかけに対する店主の返事を待たずして、おば、もといマダムが喚き散らしだしたが、それをグイと阻止して、
「はい、もう大丈夫ですよ」
と力強く答えが返ってきた。見た目はそのおば、もといマダムよりも半分ほどの体躯だが、実は中々の強者なのかも。
「いつからこの店をやられているんですか?」
との問いかけに、
「そうやねぇ~、もう8年くらいにならへんかね、ねぇ?」
とおば、もといマダムが答える。あなたには訊いていない、が
「8年になります」
と店主から正式な答えを頂いた。
長くなりそうだったので、とっさに選んだ2品をカウンターに置き購入。「なすのボロネーゼ風」と「レモン・シトロン」だ。
「またご贔屓にしたってね」
「はい、また来ます」
最後の最後まで物静かな店主の代わりをおば、もといマダムが努めていた。逆にこういった人が寄る店ということは悪い店ではない証拠だろう。なにせ敵に回すと一番怖いタイプだからだ。
味について特筆することはないが、それはどこのパン屋にしても同じことと以前にも言った。逆に悪くなければそれでいい。イコール、良かったということで、今回も店主とのやり取りをも含め立地以外は十分に満足した。
※地図を見ると行き止まりになっている様に見えるが、本当に行き止まりだった。Uターンは出来ないし引き返すのが大変だった。
健さんや文太に見る懐かしの「晒し」の思い出
あっち系の人の離婚調停に着手したが故、いつ刺されてもいいように晒しを巻いて通勤している弁護士の話をとあるブログで目にした。
中二の秋、あまりにも理不尽な上級生からの暴力に耐えかね、逆にこちらから教室に乗り込んでいってやろうと密かに鉄パイプを教室に忍ばせていたことがある。当然、返り討ちに合う可能性もあった。なにせ相手は身長180cm超、こちらは成長期とはいえ170cm未満。加えて別の上級生から、彼は「空中二段蹴り」とう必殺技を持っていて、その技に勝てたものは未だかつて一人もいないと聞いていた。
友人にその話をすると、我も助太刀致すとアドバイスをくれた。因みに彼は空手の有段者ということだったが、その実力を知るものは唯のひとりもいなかった。いわゆる自称という奴だ。彼曰く、喧嘩をするには先ず身を固めよ、腹に晒しを巻け、とのことだった。
当時の愛読書に本宮ひろ志の「男一匹ガキ大将」があった。アニメにもなった迷作だが、たかが中学生がその生まれ持った人間性や才覚により、日本全国の不良学生を束ね、末は大人相手に株の世界で仕手戦を繰り広げるといった荒唐無稽な話だ。登場する学生は特徴として、学ラン姿に学生帽、学ランの下は素肌に晒し姿といった出で立ちだ。中二の男子といえば恐らく一生のうち一番お馬鹿なときだろう。それ故にその姿を想像しただけで痺れたものだった。
そこでさっそく、一番身近にあった名古屋鉄道が営む総合スーパー「忠節ショッピングセンター」へ買い物へと出かける。因みに「忠節ショッピングセンター」は名鉄揖斐線、ならびに岐阜市内を走る路面電車が廃線となる5年前、今から20年前に姿を消した。で、そのショッピングセンターでのお買い物である。
一体全体、「晒し」ってどこで売ってんだ?友人とふたりでセンター内をくるくる回るもそれらしき商品はどこにも置いてない。致し方なし、店員に聞くことにした。
「すみません。晒しを探しているんですが、どこにありますか?」
「晒し?晒しって何かな?」
「あの大きな包帯みたいなもので、お腹にクルクルと巻く…」
「あぁ、あれね。こっちこっち」
と女性店員に案内され辿り着いた先で、ビニール袋に入った白い布を手渡された。
「多分、これだと思うけど…」
表には大きく「犬印妊婦帯」と書かれてあった。
「おい、これでいいのか?」
小声で友人に尋ねるも
「いや、わからん。取り敢えずこれでいいんじゃないの?」
ということでわけのわからぬまま購入。ただ、中身は白く幅広の包帯状のものだったので、たとえ健さんや文太が巻いていたものと同じでなかったにしても、代替品としては十分に成り立つものだった。翌朝、さっそくそれを腹に巻き、学ランの下は晒し1枚で通学した。
その姿を友人に見せるべく教室を尋ねると、彼は彼で気をきかせ、少年ジャンプだかマガジンだかをこっそりと自分に手渡し、「それを腹に一緒に巻け」という。そうすれば殴られても痛くないし、万が一、刺されることがあっても防ぐことが出来るといった理由だ。仰せの通り漫画本を腹に巻き、これにて準備万端、いざ敵地へ行かん!となった時に横槍が入った。担任だ。おまけにまだ20代の女だ。
「ちょっと、噂で聞いたけれど変なこと考えてないよね?」
「噂ってなんすか?」
「3年生の教室に殴り込みに行くって聞いたよ」
(誰じゃ、漏らしたのは)
「お願いだからやめてね」
「そんなこと言われても先に手を出して来たのはあっちだから」
「お願い、やめて」
とうとう泣かれてしまった。女の涙には弱い。中二でしたが。
「今回は先生の顔を立ててやめておきますが、今度、向こうから手を出してきたら我慢しませんよ」
とその場は格好良く締めくくり事なきを得たが、今となっては止めてもらって本当に良かったと思う。因みにその女教師は未婚者だったが、まだ担任を受け持っている途中だというのに「できちゃった」とかでとっとと学校を辞めてしまった。40年以上も前の話だ。すばらしく異端先端を行った所業じゃないか。せっかくだから「犬印の妊婦帯」を嫌味にプレゼントしてやればよかった。
異端といえば昨日食べたレンチン「味噌ラーメン」は腹が立つほど異端だった。レンジで温めるだけのラーメンではあまりにも無理があると思う。