氷の上のさかな

氷の上にディスプレイされたさかなの様にセカンドライフをキラキラとさせる為に今を頑張ろうといったシュールなお話。

どうせ煽るなら中途半端に煽るんじゃねぇよ!

次女の幼き日の将来の夢は「床屋さん」だった。後に理容師と美容師を混同していたことが発覚したが、小六となり今春には中一となる今は色々と考えも変わってきた様だ。

 

ひとつに坊主が進学を諦め就職を決めたことにある。ひと月先の百万円よりも目先の一万円に飛びつくタイプだ。勉強することよりも直ぐ様、働きに出てお金を稼ぎたいと口癖の様に言う。

 

嫁もいけない。

「工業高校はいいよ~。就職先がくさるほどあるし女の子がすくないならモテモテやよ~」

と無責任に進学先を煽るのだ。現に求人は下手な大学に比べ桁違いに多い。就職先が選びたい放題というのは魅力的なところだろう。

 

「私、どうしよう。お兄ちゃんと同じ高校へ行こっかな」

「うん、そうしや、そうしや」

 

いつもならば黙ってやり取りを聞いてはいるのだが、

「お前ら二人して世の中舐めてぇへんか?」

といった思いがふつふつと胸にこみ上げついつい嘴を入れてしまった。

 

「あのな、同じ高校へ行こっかな、って塾にでも行くつもりになってないか?誰にでも簡単に行けると思ったら大違いだぞ」

そして嫁に向き直り、

「片道10km、自転車漕いで行かせるのは本人の意思がそこにあるのならば問題ないけど、バスに乗っていけば目の前にバス停がある高校があるだろ?先ずはそこを目指しなさい、と言うべきじゃないのか?」

 

我が家からバスで一本、最もな好立地に県下でも優秀な生徒が集まる進学校がある。

 

「100点を目指して50点しか取れなかったってのは理解出来るけど、50点を目指しなさいと言われて50点がとれるわけないだろ」

 

昨日、帰宅し自室にいると、次女がパタパタをやってきて、

「お父さん、これどう思う?」

と一枚の絵を差し出した。

「上手?」

「うん、上手いやん。これ誰?」

「うんとね、これ見ながら描いたんやて」

スマホの画面を示す。

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今、猛ブレイク中の鬼滅の刃に出てくるキャラクターらしい。

「上手い、上手い。いっそのこと漫画家を目指したらどうだ?」

「や、こんな下手くそでは無理やろ」

「漫画ってのはな、描けば画ほど上手くなるもんだ。それにな、無茶苦茶儲かるぞ」

「えっ?幾らくらい?」

「名前知らんけど、『ワンピース』の作者は年収30億円くらいだって聞いたぞ」

 

「マジで?私、漫画家になる!」

 

どうせ煽るならば工業高校レベルよりもこれくらいのスケールで煽るべきだ。一応、絵が上手いだけではダメ、ストーリーを作り上げる能力、技術を身に付けるには沢山の本を読まねばならないよ、と釘を刺しておいた。

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