なんか凄いサーバーらしい
キリンビールのサーバーが付いた。ところが設置前日にキリンビールの担当者から電話が入る。
「すみません。立ち会うつもりだったのですが、ちょっと風邪をひいたらしく体調不良でして。その日は別の担当者を行かせます」
「そうか。仕方がないな。じゃ、お大事に」
無理をさせてはいけないと思い寛大な措置をとってやった。
そして翌日から彼を知る人、全てに対し、
「どうやら流行り病にかかったらしいぞ」
と思いっきり言いふらしてやった。マジで。
お盆が明け、ご挨拶がてら伺いたいと連絡があったので、本当は嫌だったがそうも言っていられないので応諾した。
「どう、体調は?」
「はい、もう万全です」
「まわりにはコロナに罹患したと言いふらしてやったけれど、本当のところはどうなんだ?包み隠さずに言え」
「いや、本当に風邪です。その後、盆休みに突入したので長らく顔が見られなかっただけです」
「ふふん、そういうことにしておいてやろう」
面白かったのでもっと引っ張ってやろうかとも思ったが、やることがいっぱいあったのでそれまでにしておいた。
「ところで、現物協賛も期待しているからよろしく」
つまり、生ビールの樽などをタダで寄越せとおねだりしてみるわけだ。
「いや、まぁ、はい、そうですね。でも、このサーバーにはかなり掛かっているんですよ」
「そうなの?」
「普通のサーバーとは違いますんで」
と指を五本突き立てる。
「えっ?5円?そりゃ、たけぇ!」
「ちゃいますって。普通のサーバーだったら11くらいで買えるんですよ」
「11円。そりゃまた安いな」
というわけで、かなりレアなサーバーなのだ。
左のコックからはビール。右のコックからはハイボールが出てくる。そしてレバーを巧みに操作するとウィスキーの原液だけが出てきたり、ソーダ水のみが出てくる仕組みだ。すなわちあらゆるアルコールのソーダ割りが楽しめる。チューハイには便利だね。
「それはそれ、これはこれだから。そこんとこ夜露死苦!」
手っ取り早く借金を返すには、先ずは使わないことと心得る。出すものは舌でも惜しむ商人魂を遺憾なく発揮したいと思う。