「わさこ」との出会いと別れ@愛知県豊田市「川見(せんみ)薬師寺」
薬丸といえば「シブがき隊」のやっくんで、薬師丸といえばチャンリンシャンのひろ子だが、薬師寺といえば薬師寺保栄ではなく、今回は愛知県豊田市にある川見(せんみ)薬師寺を攻めてみた。この界隈は「川見四季桜の里」と呼ばれ多くの四季桜が植えられており、春秋ともなれば沢山の観光客で賑わうらしい。ただ、さすがにこの時季ともなれば閑散としており、唯一自分だけが観光客だった。
ウド鈴木の旅番組で紹介されたのを観て、予てより行ってみたいと思っていたのだが、多治見の「信濃屋」にうどんを食べに行ったのを機に強行してみたのだった。本堂は小高い丘の上に麓からは階段を88段、33段、42段と三段階に分けて登った場所にある。
因みに33は女性の厄除け、42は男性の厄除け、88は四国八十八箇所を意味しているのだとか。
見どころはなんと言っても本堂の梁に彫られた一刀彫りの龍だ。「日本一の龍」と呼ばれているらしいのだが、どのジャンルで何と比べてそう言われているのかはわからないものの、確かにその迫力ある彫刻には「ほほぅ」と感嘆せざるを得ないものがあった。
さて話は変わるが、階段を上りつつ、何やら上の方で犬の鳴き声がするな、と思っていたら、本堂横の庫裏の縁側に1匹の大きな犬がいた。
首輪はついていたが、どうやら放し飼いをされている様だ。縁側から庫裏に近づかせない様に番をさせられているのかと思いきや、何のことはない。恐る恐る近づいたらいきなり飛びかかりじゃれ付いて来た。ひょっとして遊び相手を待っていたのか?性別を見たらメス犬だった。なんとなく理由がわかった気がする。
いつまでもじゃれ合っていたい気もしたが、あまり情をもたれても困る。
「じゃ、またね」
と手を振り帰ろうとすると、まるで「こちらへ来い」といわんばかりに前を歩き始めた。
階段に差し掛かり、いよいよお別れと思いきや、更についてこいと階段を下り始める。結局、42段、33段、88段を全て下りきり麓までどころか更には駐車場にまで来てしまった。
「こりゃ、どうしたものか」
と思案していたら、「わん!」と一鳴きして踵を返し、来た道を戻り一目散に階段を上っていった。どうやらお見送りをしてくれた様だ。顔はブサ犬で人気の「わさお」ならぬ「わさこ」だったが、なんとも粋なはからいではないか(後に本名「ムク」ちゃん。5歳の女の子と判明)。
目的は龍の梁を観に行くことだったが、彼女に会いに行くことを目的としても良いかも知れない。あ、惚れちゃったかも♡