好きでガリガリしてんじゃねぇよ@日の出前の攻防
寒いのはまだいい。精神滅却すれば耐えられもする。ただ、いわば不可抗力な冬のこの時季に起こる自然現象には毎年のことながら辟易としてしまう。早朝、市場へ向かおうと車に乗り込むも、フロントガラスが一面、真っ白となってしまっている。昨朝などはそこに水滴が氷結し加わり、ワイパーを回すも「ガリガリ」と不快な音を立てるのみで視界を得ることは到底、適わない。
こんな時に役に立つのがアレだ。
「ねぇ、ドラえもん、アレを出してよ」
「仕方がないな~、のび太くんは」
チャラララッチャラ~♪
「はい、スクレーパー!」
スクレーパーの定義はわからないが、簡単に説明すると柄の先が平になった、例えるならばお好み焼きのコテの様な形をしたもので、霜が下りたフロントガラスをゲシゲシと削ることにより視界をクリアに保つという画期的な道具だ。
エンジンをかけ暖気を取りデフロスターで融解させるのも一つの手段だが、まだ真っ暗な早朝のことだ。隣近所の目も有りそれをするにはかなりの勇気が必要となる。となればスクレーパーでザクザクと削り取るのが一番手っ取り早かろう。
ところがだ、市場から「ただいま~」と帰宅すると開口一番、
「なんか外からガーリガーリガーリガーリと聞こえてくるもんだからその音で目が覚めて、何事?と思い見に行ったら…」
だった。けして本人はそれを咎めて言っているわけではないのだろうが、やはり言われた方は気に病むじゃない?それが家族だけならばまだしも隣近所にもそう思われたとするのならば完全に近所迷惑となる。
時季も時季だ。そろそろタイヤ交換をしたところで違和感もないだろう。ということで、スタッドレスを車に積み込み掛りつけの自動車修理工場へと持ち込むついでにホームセンターにも寄ってみた。更なる文明の利器に従ってみようかと考えたわけだ。
しかし霜取り専用の薬剤とひとことで言っても種類や価格も豊富にあるんだね。
然しながら性能の違いが全くわからない。となれば、ここは自分流の一択しかないだろう。そう、価格が一番安い商品だ。
暫くはこれで様子を見ることにした。
いや、本当はね、仕入れ用のハイエースの駐車場は自宅から100mほど離れた場所に借りてるのよ。でも、目が覚めたら直ぐにでも車に乗って出発したいじゃんね?だからわざわざ前日の晩に自宅の前にまで車を持ってきているわけなんだけど、それさえ無ければアイドリングしながらでもフロントガラスを如何にやかましく削ろうとも文句やお咎めが来ないってわかっちゃいるんだけどね。その辺りの心情はお察しください。