氷の上のさかな

氷の上にディスプレイされたさかなの様にセカンドライフをキラキラとさせる為に今を頑張ろうといったシュールなお話。

半ば飲み屋と思しき@「喫茶むらさき」

「おう、今な、皆で飲んどるんや。お前も来んか」

携帯を耳に当て店内に鳴り響くほどの大声で老齢の男性が話をしている。まわりを囲む女性陣が「ひゃあひゃあ」と笑い声を上げる。

「飲んどるって、あんた、まだ真っ昼間やないの!」

盗み聞きの内容からどうやら男女は同級生らしい。


「なんでや。飲んどることに違いはないやろ」

「そりゃ、違わんけど」

続けてまたも「ひゃあひゃあ」と爆笑する。


店内は禁煙ではない。ところどころに白い煙が上がっている。いわば喫煙族の憩いの場にもなっているのだろうか。冒頭の老人も白い煙をくゆらせていた。


そろそろ本題に入る。ここは飲み屋ではない。昭和レトロな喫茶店だ。そして老人が飲んでいるのはコーヒーだ。確かに「飲んどることに違いはない」。


行きつけでもある「クスリのアオキ」の前を通り過ぎたところで、ふと買い物の用事を思いついた。ただ、Uターンして「クスリのアオキ」に戻るのも面倒くさい。もう、あそこでいいや、と同じ通り沿いにある「スギ薬局」に車を入れた。買い物を済ませ車に乗り込もうとしたところで目についたのがこのレトロな喫茶店だった。


店名は「喫茶むらさき」という。f:id:Croquis009:20210714181449j:image

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ネーミングからして古風だ。


「なんや、おまえ出てこんのか」

老人の話は続く。

「なんでもええではよ出てこい。はよしなこっちは出来上がってまうわ」

「あんた、コーヒーなんかで出来上がるわけないやないの」

ご婦人がまたしても「ひゃあひゃあ」言いながらツッコミを入れる。


「たわけ、おまはんオレが幾つやと思っとるんや。こんな年寄がコーヒー飲みからかすと夜寝られへんようになってまうやろ。寝られへんかったら酒飲むしかないやないか。ほれみ、ほしたら出来上がってまうに」

むちゃくちゃな理論だがなるほどと思わざるを得ない。中々、頭の回転が早いお人だ。それにしてもなんとも口が悪い。


自分はといえば凡そ40年ぶりとなるクリームソーダにご満悦。

赤いクリームソーダはいったい何味なんだろう?f:id:Croquis009:20210714181621j:image

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19の時にアルバイトをしていた喫茶店、その名も「喫茶明治」も中々にしてレトロな喫茶店だった。アフロヘアの一見してヤンキーとわかる姐さんが常連のひとりにいたが、決まって注文するのはソーダ水だった。


「ご注文はお決まりですか?」

「ダ水。パープルにして、パープル」


よってひそかに「パープル姐さん」と呼ばれていたが、ひょっとして「喫茶むらさき」のママさんではあるまいか?とも思ったが顔をすっかり忘れてしまったので確認不可能


なにはともあれ楽しいひとときを過ごさせてもらった。直に関わらなければ年寄りは楽しい。

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