氷の上のさかな

氷の上にディスプレイされたさかなの様にセカンドライフをキラキラとさせる為に今を頑張ろうといったシュールなお話。

エクボの~秘密あげたいわ~♫

市場での出来事。車中にて名古屋便の到着を待っていると、「ゴン」という音とともに車が揺れる。

 

「ア、アルマゲドンか?!」

なわけない。さてはやりやがったな!と慌てて車から飛び出し左座席側を確認すると案の定、ネコ(台車)の取っ手が車のボディに突き刺さっていた。

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今までも何度と無くぶつけられている。が、現認したのは初めてだ。要するに当て逃げされ放題にされていた。よって、同じ高さに相田翔子ばりのエクボが沢山つけられている。

 

「ちょっとちょっと!」

犯人は逃げるわけでもなく自らの仕事を真摯にこなしていた。つまり、自分の仕事に集中するあまりネコの監視を怠ったというわけだ。ただ飼い主には責任をとってもらわねばならない。

 

「あ、すみません」

先ずは当然謝る。と、同時に自分が仕入先としている仲買の担当者に向け、

「この方の車にネコをぶつけてしまって…。取り敢えず報告だけさせてもらって後でまた来ます」

と自分と担当者に頭を下げ去っていった。

 

その光景を見ていた他の部署の担当者が

「どうしたの?」

と興味津々に訊いてきたので、カクカクシカジカと説明すると、

「ああ、そうか。それはまぁ、弁償してもらうしかないね」

 

ふつうか!何かこうしろとかああしろとかアドバイスはないのか?

 

「でも、あの子はいい子だからちゃんとやってくれると思うよ」

ベテランのその担当者曰く、彼は性格もいいし仕事ぶりもいいし人間性もいいから何も心配要らないという。

 

しばらくしてから、再び姿を現した彼は名刺を持参し自分にわたす。返す名刺を持ち合わせていなかったので一方的になってしまったが取り敢えず黙って受け取った。

「修理見積もりを出されたらこちらまでご連絡下さい」

と会社住所を指で差す。

 

なるほど、確かに悪い人ではなさそうだ。

「わかりました」

 

取り敢えず返事をしたものの、冒頭で述べたようにエクボの数はひとつやふたつではない。みっつやよっつ、いや左右合わせれば軽く数えても10は下らない。当たっただけでなく、そのまま横にスライドした傷跡さえも残っている。それくらい、市場の中は当て逃げがまかり通る世紀末の無法地帯なのだ。

 

ただ、そこだけ直すのもなんだかなぁ~、阿藤快

 

先方は川魚専門の仲買人だ。季節は刻一刻と土用の丑の日に近づきつつある。そして川魚の卸しとは別に「うなぎ屋」も営んでいる。こりゃ、蒲焼きで手を打つのも一つの手だな、なんてことを目下思案中。

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