氷の上のさかな

氷の上にディスプレイされたさかなの様にセカンドライフをキラキラとさせる為に今を頑張ろうといったシュールなお話。

漂白じわーるついでの「じわるバター」

白Tが似合う男といえば吉田栄作ともうひとり挙げろと言われたら自分だが、白Tに似合うのはやはりジーンズと白のキャンパススニーカーだろう。「SUPERGA」のホワイトスニーカーをこよなく愛す自分にとり、今が正にその季節ということだ。ところが肝心のホワイトスニーカーがホワイトでなくなってしまっている。汚れもあるが黄ばみが酷い。洗ったくらいでは白を取り戻すのが不可能だったので漂白をすることにした。


ドラッグストアの洗濯洗剤売り場を探す。漂白界の二大銘柄といえば「ハイター」か「ブリーチ」だろう。というか、他に何かあるのだろうか?あとは頭に「ワイド」が付いたものくらいしか思い浮かばない。ま、そんなこたぁどうでもいいとして、「ハイター」か「ブリーチ」を探したわけだが一向に見つからない。いや、「ワイド」が付いたものは沢山あるんだよ。ところがオーソドックスな漂白剤が1本も見当たらない。


「すみません。ワイドじゃない方の『ハイター』ってないんですか?」

「普通の『ハイター』は取り扱ってませんねぇ」

え、そうなの?因みに今回は「スギ薬局グループ」だが、他所でも同じなのだろうか。無いと言われちゃ仕方がない。すごすごと引き返そうと思ったが、ふと思う。そうだ!「キッチンハイター」ならばあるんじゃない?と台所洗剤売り場へ向かうと思った通り、「キッチンハイター」はお待ちしていましたとばかりにそこにあった。でも、選んだのは安い方の「キッチンブリーチ」だったけど。おまけに「ワイドハイター」より100円安い。

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それだけで帰れば良かったのだが、ついついお菓子売り場に寄っちゃうのがいつものクセなんだよね。ほら、やっぱり捕まっちゃった。細い瞳と淡白な顔立ち、そして口角がキュッと上がったその微笑みはまるで黒木華を彷彿とさせるようではないか。

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商品名さながらに「じわ」ってしまったじゃないか。無意識のうちに左手に握られていた。だいたいが「期間特売」とか「期間限定」というのに弱いのよ。

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自宅に帰り、昼食を済ませる。そして「じわるバター」は後ほどのお茶請けにでもと考え食卓の上に置きっぱなしにしておいた。自室で店舗用に買ったパソコンの設定をしていたところ、キッチンの方でゴソゴソと人の気配がする。あ、やばっ!慌てて駆けつけるも既に手遅れ。次女が帰宅していた。


「なにこれ?かわいい~」

あ~あ、ひとりでこっそりと食べようと思ったのに見つかっちゃった。


「なんでこんなに早いんだよ」

三者懇談があったから」

「え?おまえ先週そうだっただろ?」

次女の三者懇談は既に先週の内に済んでいる。

「なんか知らんけど二週間にわたってやるんやって」

だそうだ。


「で、なにこれ」

「わかったゎ。やるでいいわ、やるで」

ということで、長女に4つ、次女に4つ、自分は辛うじてひとつ多めの5つと一方的な痛み分けとなった。包装紙のイラストが色々あって可愛いね。

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味の方はといえば、確実に二度目はない。思いの外「じわ」らなかった。

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で、スニーカーは見事に漂白されて陰干し中。

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ところで吉田栄作は今でも白Tなんだろうか?

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