激戦のホワイトデー「大とり編」
過ぎ去った日の出来事としてもう忘れてしまっても良さそうな、いやむしろ忘れてしまって欲しい話だが、事に物が絡むといつまでも忘れることはないのだろう。それが前日であり、物欲逞しい我が家の女どもの話ならば尚更だ。
ホワイトデーも「大とり」の出番となった。外面を大事にする自分であるからにして、外部からの貢物に関してはフライングしてでも先に済ませてしまう。因みに外面は「がいめん」ではなく「そとづら」と読む。念の為。今年もつつがなく終えることが出来た。
さて、家庭内ホワイトデーだ。何せ木曜日の夜に家族に会ったきりで、金土と早朝より深夜まで不在であったが為、お返しを手渡すどころか顔すら見ていない。その点、相手が家族になると気楽なところだが、反面、お返しを怠るといつまでもグチグチと言われるのもまた家族ならではで大変なところだ。
長女へのお返しは簡単だ。かならず中に「おにぎりせんべい」を忍ばせておけばそれで済む。
あとは両隣をチョコレートで彩れば見た目にも華やかだ。
次女からは最初からお返しの指定を受けている。「男梅1年分」だ。1年分とまでは行かぬまでも、どうせならばバラエティ豊かにお返ししてやろうと男梅セットのお返しとなった。
内容は
「男梅グミ」
「男梅ソフトキャンディー」
「男梅キャンディー」
「男梅ほし梅」
「男梅シート」
が加わると男梅六神将となるが、「男梅シート」だけは彼女曰く「ゲロ不味」なのだそうだ。
この5つを揃えるだけでもスーパーやドラッグストア、「お菓子のもりや」など専門店へ足を運ばねばならない。男としてもマメな方だと自負するが、父親としてはもっとマメなナイスダディだとこの事からしてもわかって頂けるかと思う。
日曜日の朝に顔を合わせた折り、やっと手渡すことが出来て今年のホワイトデー行事もことごとく終了することとなった。
「お母さんのは?」
「えっ?」
「お母さんへのお返しは?」
「…。」
も、もちろん忘れているわけな、ないじゃないか。
「はい、これ」
中瓶が出ているのは知っていたが、350ml缶で見たのは初めてだったので衝動買いをしたものだったが、この際だ、気前よく「どーやっ!」と差し出してしまおう。
「1本だけ?」
「えっ?あ、いや、取り敢えず」
まぁ、そりゃそう来るわね。娘達がくれたバレンタインチョコもどうせ出処は嫁の財布だもん。その後、すかさずドラッグストアに車を走らせ「エビス」の6缶入り1ケースを買って手渡し良しとしてもらいました。