「頭文字D」番外編
沢尻エリカの代役が川口春奈に決まったと聞いた、というかYahoo!のトップページで見た。ただ、いくら川口春奈を思い出そうとも近藤春菜の顔しか浮かんで来ないのは恐らく自分だけではない筈だ。少々、マイナー感に失した思いだ。自分がただ彼女を知らぬだけというのならばこの場を借りて平伏しておく。ただ、本当は悪いと思ってもいないことを重く表現出来るところが文字の気楽で無責任なところだね。実際に言葉にするのとはまるで重さが違う。
「いびがわマラソン」後もまじめに、かつ定期的に走っている。ただ近々に大会の予定はないのであくまでもマイペース。空気は随分と冷たく感じられる様にはなったが、その分、木々は紅葉が進み目先の景色もやっと季節に追いついて来た感がある。
特にコースは決めていない。今回は行き当たりばったりで信号に従い走ってみた。
赤信号で足止めを食らうぐらいならその都度行ける方へ行ってやろう、といった想定だ。それでも致し方なく足止めされる時は頻繁にある。
歩行者信号のシグナルが「赤」だったので、横断歩道前で信号が変わるのを待っていると、自転車に乗った恐らく七十路絡みのご婦人が後ろに止まった。ご婦人によく見られる、止まると同時にサドルから飛び降りる例のランディング方式でだ。止まったと同時にぶつぶつと何かをつぶやいている。あくまでもつぶやきなので、何を話しているのは聞き取れはしなかったが、ただの独り言だろうと看過していた。
信号が青に変わると同時に歩を進める。車vsオートバイがスタートダッシュを競うなら、確実にオートバイの方が先行する。これは自動車の免許しか持たない者でも自覚していることだろうとは思う。人間vs自転車も然り。よーいドン!からの10m、若しくは20mは確実に人の歩速の方が早い。要するに、そのご婦人に先行して自分が走り始めたわけだ。
あくまでもマイペースは、先ほど述べた通りだが、ご婦人の自転車が猛追してきた。そして横に並ぶや否や、何が気に障ったのか「走っとる奴に負けるわけにはいかんのやて」と言葉をぶつけられた。
「あ、どうぞ、気にせず先に行ってください」
面白い方だな、と思いながらエールのつもりで言葉にしたのだが、
「うるせぇわ、のろま」
と、捨て台詞を残されたのには少し「カチン」と来た。
その年齢に達してまで、何故それほどまで勝気でいられるのかが謎ではあったが、言葉で返さぬまでも実力で思い知らせてやろうとギアをトップからサードに入れ変え猛追。あっさりとぶち抜いてやった。
「くそ、負けた」
と、言われ我に返りはしたものの、ひょっとしたら彼女は陸上競技でのコーチとして適任者ではないのだろうか?ペースを乱されなんとなくしてやられたと思いつつ、また相まみえる事を期するのであった。