坊主のこと
愛用のジーンズが何故か姿を消したので、ひょっとしたら坊主のところに紛れ込んでないかと疑いをかけ家宅捜査に踏み切った。本人が仕事で不在の折に突入したので、言い換えるならば不法侵入、または空き巣に近い。
ところでその坊主だが、最近「仕事がヒマ」だなんてぬかしやがる。
「早々に仕事を干されているのか?」
と問うと、どうやらそうでも無いらしい。
今は主に電子回路の設計をやらされているだとか。なんだそりゃ?と聞かされても具体的にどの様なことをしているのかはわからない。会社にそれが出来るのは本社に二名しかおらず、あとは大手に出向していていないらしい。その二名のうちの一名に当たるわけだ。ただ、そんな重要な仕事を任されてヒマということはないだろう。
「オレにとっては簡単な仕事なので終わるのが早いの」
だそうだ。で、その後なにもやることが見つけられないとか。クソ生意気な奴だ。
「そういう時はな、先輩に何かやることはありませんか?とか、何かお手伝いはできませんか?と指示を仰ぐんだよ」
先輩社会人として鼻の穴を大きくしながらアドバイスをしてみた。
すると
「担当領域が違うから手伝うことも出来ない。電子回路は電子回路の専門家。機械いじりは機械いじりの専門家しか手伝うことが出来ない」
だと。
なんだかよくわからないが、ヒマならばヒマなりに仕事が出来る環境に就けたことを今は運が良かったと喜びなさい。今の高校三年生が可哀想だ。
で、肝心のジーンズだがくるりを丸めて床に打ち捨てられていた。畳んであったはずのものんを何故わざわざそうするかなぁ。ついでだからと探訪すると、おもしろいものが色々出てきたので盗撮してやった。
自分の子どものことが未だによくわからない。
小六の夏休みに作ったソーラー稼働するレストランが、余程お気に入りだったのが窓辺に飾ってあったが、そこまで大事にする様なものでは絶対にないと思う。