けして柳葉敏郎は悪くない@岐阜「長良川天然あゆ」の話
その昔、「水清冽の長良川 愛されたくて(恋しくて)」という岐阜の長良川を舞台にしたドラマで、主人公の柳葉敏郎がヒロインの浅野ゆう子に向かって、
「俺たちの長良川はもう流れを止めてしまったんだ」
と言うセリフを聞いて、誰だ!方言指導をしたのは!責任者出て来い!と激しく怒りをぶつけたのはきっと自分だけではないはずだ。
実際には
「おれんたの長良川ははや流れえへん様になってまったんやて」
が正解。
確か河口堰に問題提起をしたドラマだったかと思う。つーか、そもそもそんなドラマを知っとる方がどうかしとるでかんて、と我がことながらすげぇと思う。本州において唯一、本流に堰がなかった川、長良川に河口堰が出来てしまったことにより、流れを止めてしまったということが言いたかったらしい。実際に流れを止めたら濃尾平野は水浸しになり岐阜湾なんてのが出来ていたかも知れない。
その河口堰があったとしても、天然鮎の遡上を安定確保するための、長良川・川漁師による勇気ある種付けの作業が長良川の漁場(ぎょば)で見られると聞き、昨日参加してきた。
殆どの人は食べることには興味があっても、鮎がどの様にして守られているかなどは全く興味がないだろうからテキトーに端折る。
ちょっと見た目には残酷だ。産卵の為に下ってくる鮎を瀬張り漁という漁法で一網打尽にし、手づかみで鮎の卵子と精子をむりやり搾り出し受精させる。
それはあたかもラミネートチューブに最後に残った歯磨き粉を絞り出すような作業だったと言えば想像がつくだろうか。
受精卵は河口堰近くの水路に設置され孵化すれは伊勢湾へと更に下るのだが、海にたどり着くものも極わずか、ましてや遡上してくるものは約1億個の受精卵のうち1%だという。食べるだけの人にもちょっとはありがたみが伝えられただろうか?
昨日はお日柄も運も味方をしたのか、かなりの豊漁だったようだ。その場で炭火焼きした鮎を思う存分に堪能しただけでなく、生きた鮎もふんだんに持ち帰ることが出来た。
改めて言わせてもらう。
昨日見してもらって思ったんやけど、やっぱ岐阜の鮎が日本一やて。日本中の人に食べさしてぇで遊びにこや。
因みに長良川の鮎は「清流長良川の鮎」として「世界農業遺産」に認定されている。岐阜在住であるのも関わらず、そのことさえ知らない岐阜人はまだ沢山いる。
岐阜の仁(じん)やったらそれくらいのこと知っとらなかんて。