世界名作劇場「義父をたずねて14km」
年賀の挨拶だけはとうの昔に済ませたのだが、挨拶だけでは格好がつかぬと義父母宅にお呼ばれにあずかった、
と思っていた。
昨日のことである。
先ず、お呼ばれにあずかるということは、先方の自宅にお邪魔せねばならない。そこで、何度も言うが今一度言おう。
我が家は5人家族にも関わらず、そこへ行くにも5人乗れる車を一台も所有していない。
長年の家庭のあり方がそうさせてしまったといえばその通りなのだが、深くはつっ込まないで頂きたい。
となれば必然的に自分が犠牲になる。
「お父さんなら走って行けるでしょ」
なら、まだしも
「お父さんは走って行って」
だ。
端から既定路線となってしまっている。我が家は岐阜市とはいってもかなり北西部。却って嫁の実家は岐阜市とは名ばかりの、隣町との境目にある南東部に位置する。距離にして14kmほどだろうか?走っていけない距離では全くない。
折しも好天に恵まれ日差しは暖かくランニングには好条件だった。走りも快調で、ファンランニングのつもりがついつい力が入りすぎた。まぁ、それはそれ別にかまわない。
実家に到着しインターホンをならすと義母の「はーい」という元気な声とともに玄関の戸が開いた。いつも玄関先で迎え入れてくれる。ところが開口一番、
「今日、来るなんてこと全然聞かされてなかったもんで、今、急いで用意しとる」
だった。
元は酒屋を営んでいた。義父が酒好きというだけで開業した酒屋だけあって、齢80を超え酒屋を廃業しても未だに酒好きだ。同じく自分が無類の酒好きであるがため、気の置けない飲み友達として一緒に飲めることが実に楽しいらしい。いわば、義父の為に出向いている様なものだ。とはいえ、自分もまたそれが楽しみでならない。
ところがだ、先の義母の話である。「来るなんて聞かされていない。お爺ちゃん(義父)はお日待(総会)で不在」と聞かされた。
なんじゃ、そりゃ。
嫁と実家の間でどの様なやり取りがなされていたかは知らないが、義父が不在ならば自分の存在意義もなくなるわけである。さすがに義母もぶつぶつとわが娘に愚痴をこぼしていたが、全く同感と首が痛くなるほど上下に頷き平身低頭、できる限りの謝罪の意思を示しておいた。
ほどなくして嫁と娘二人が到着。
「あれ?坊主は?」
「遠慮しとくだって」
おいおい、それならそうと先に言えよ。シートひとつ空きが出たじゃん。あのさ、確かに走ることが好きなのは認めるよ。でもな、自分の意思で走るのと、そうでない場合は気持ちの入れようが全く違うだろうが。
自由奔放と自分勝手を履き違えるんじゃねぇよ。B型コンビに翻弄されるのは金輪際、ご遠慮したい。
で、全く関係はないが、岐阜市限定「キリン一番搾り『麒麟がくる』バージョン」がいよいよお披露目です。