氷の上のさかな

氷の上にディスプレイされたさかなの様にセカンドライフをキラキラとさせる為に今を頑張ろうといったシュールなお話。

松川や、ああ松川や、「松川食堂」@岐阜県安八郡安八町←どこやねん

自分は美食家でも食通でもないが、食べ物と場所には一家言を持っている。自分のハートを鷲掴みにして離さない、そんなメニューのひとつでもあればそれがその店の全ての評価に繋がる。いわば店を選ぶ立場ではなく、店に選ばれる立場として、その店の放つ銃弾の餌食になりたいのだ。

 

「松川食堂」

 

建物からして危険な香りを放つ。

 

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本当はレンガ造りにしたかったのだが、予算上間に合わず仕方なしにレンガ色のペンキを塗りたくった雑なところが如何にも自分が持つ合理性にマッチしている。あくまでも勝手な想像なので鵜呑みにはするな。それにネーミングが良いではないか。そこら辺からテキトーに拾ってきたかの様な名前のカジュアルさがこの店の敷居の低さを物語る。

 

一応、言っておくが悪口ではない。むしろ褒めているのだ。

 

「ガーッ!」

入口に立つと両のドアが音を立てて左右にスライドした。

 

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まさかの両側スライド自動扉だ。超近代的システムが装備されていることに驚きが隠しきれない。再度、言っておくが、けして悪口ではない。

 

店内に入り椅子に腰掛ける。ところがテーブルを見渡すもメニューらしきものがない。店内にもそれらしきものは掲げられていなかった(後の情報で、見つけられなかっただけで壁掛けメニューはあったらしい)

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「あそこに並べてある皿を選んで下さい」

後ろのテーブルで娘さんと食事をとっていた男性が立ち上がり、こちらに近寄り料理が並べられているショーケースを指差しわざわざ教えに来てくれた。

 

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「あぁ、そうなんですね。ありがとうございます」

と立ち上がりショーケースの中の料理を物色していたら、同じ男性が

「ご飯は大中小あるけどどれにします?」

と訊ねてきた。なんだ、従業員だったのか。

 

「小でいいです」

「味噌汁は?といっても味噌汁は売り切れて豚汁しかないけど」

「あ、じゃ豚汁で」

豚汁をお椀に装いながら、

「料理はそこの電子レンジで温めてね」

 

なるほど!つまりここはいわゆる「セルフ式食堂」という奴だ。店の出で立ちを見れば想像出来るがおそらく歴史は長い。この手の店を真似た今風だがセルフ方式の食堂もあるにはある。ただ、オリジナルの色気というものを感じられるのはこの手の店をおいて他はないだろう。

 

何よりもいつ朽ち果ててもおかしくなさそうな電子レンジがある侘びた風景が最高ではないか。

 

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それも右側の電子レンジを使うにはかなりのテクニックを要する。まともに動かない。コンセント外れてねぇか?細かいことは気にしないという姿勢が重ねて良いではないか。これも悪口というわけではない。

 

自分がチョイスしたおかずは「鶏の唐揚げ&イカの天ぷら」「サバ煮」「豚汁」「白飯のお仏飯盛り(これでも小)」に無料のお新香、しめて770円だ。

 

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食べ終わって立ち上がり、レジへと向かうと左隣に座り食事をとっていた年老いた女性が同じく立ち上がり、

「ありがとうね」

とレジへと向かう。あんたも従業員かよ。

 

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皿に値段がついている。いわばメニュー表の様なものか。


この女性がどうやら女将の様だ。つまり、従業員の賄いタイムにも関わらず不躾にも店に来てしまったらしい。時計を見る。午後1時。

 

従業員がいつ食事をとるかなどはその店の勝手だ。ある意味、客をも交えたアットホームな店と言えるかも知れない。

 

だから、悪口じゃないって言ってんでしょ。なので、きっとまた行く。

 

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